平成24年3月16日
広報部長

東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質の浸透に係る報道について

3月14日、共同通信社の配信により、日本経済新聞、毎日新聞等の夕刊に、「東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出され地面に降り積もった放射性物質について、事故から3ヵ月後の6月にはほとんどが地表から5センチメートルまでの浅い場所にとどまっていたが、1年後の現在では10〜30センチメートルの深さまで浸透している可能性があるとの推定を、日本原子力研究開発機構のチームが14日までにまとめた。」及び「除染活動が遅れるほど放射性物質は深く移動し、除染で取り除く土壌が増えたり(地下水に入って)井戸や河川に流れ込んだりする危険性があると警告している。」との記事が掲載されましたが、このような事実はありません。

記事中の調査研究は、文部科学省からの委託調査「放射線量等分布マップの作成」における「土壌深度方向の放射性物質分布の確認調査」に基づき行ったもので、この調査結果を基に春の原子力学会において発表を予定しているものです。その発表内容は、福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の土壌中深度方向の分布状況について調査し、事故発生直後の地表面への放射性物質の沈着量等を推定したものであり、その後の移動量まで言及したものではありません。

また、本研究における沈着量等の推定は昨年6月に測定した深さ方向の濃度分布の測定データに基づくものですが、その後の移動の様相については、時間経過に伴う測定データと併せて評価検討すべきものであり、現在その検討を行っているところです。

これまでの機構による除染モデル実証事業や他の研究機関による調査では、実際のセシウムの土壌への浸透については、ほとんどが数センチメートルまでに止まっているという知見が得られており、今後の土壌の除染においてもそれらの結果を踏まえ実施することが適切と考えています。

記事解説は「こちら [形式:PDF]

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