━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.10.15 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.148 目次 ----++

現場から ____ 地形変化や気候変動を考慮した地下水流動解析手法の開発

海外事務所便り _ ドイツ政府が新エネルギーコンセプトを決定 ほか

広報紙から ___ タンパク質の生命機能発現に関する水の本質的役割を解明(JAEAニュース第41号)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

地形変化や気候変動を考慮した地下水流動解析手法の開発

東濃地科学研究ユニットが岐阜県東濃地域を事例として実施している、地形変化や気候変動を考慮した地下水流動解析手法の開発に関する研究について紹介します。

高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発の一環として、その基盤的な研究である「地質環境の長期安定性に関する研究」を進めています。「地質環境の長期安定性に関する研究」では、火山活動、地震活動、断層運動、隆起・沈降運動、侵食作用、気候・海水準変動といった自然現象について、その履歴や活動性を調査するための技術の開発や、それらの自然現象が地質環境(地下水の流れや水質など)に与える影響を評価するための手法の開発を行っています。

当ユニットでは、「地質環境の長期安定性に関する研究」の一環として、岐阜県東濃地域を事例とした地形変化や気候変動を考慮した地下水流動解析手法の開発に取り組んでいます。この研究は、将来の隆起・沈降運動や侵食作用による地形変化や、降水量の変化や海水準変動の要因の一つである気候変動により、地下深部の地下水の流れが長期的にどのように変化するかを予測・評価するための手法を開発することを目的としています。

これまでは、将来十万年程度の地形変化を、数値モデルを用いたシミュレーションにより推定し、その結果を用いて地下水流動解析を行った研究や、過去百数十万年の地形・地質構造の変化を既存の文献情報から再現し、過去から現在までの地下水流動解析を行った研究を実施してきました。また、最近の研究では、過去数十万年の地形変化や気候変化(地下水への涵養量の変化)を、空中写真判読結果や花粉分析結果、表層水理観測結果などの調査データから推定し、これらを数値モデルに反映し、地下深部の地下水の流れの変化を検討しました。

これらの研究の結果、地形や気候の変化による地下水の流れの変化の程度は、対象とする時間スケールや空間スケールに応じて異なることが分かりました。

このような、数値シミュレーションや文献情報、現地調査結果から、地形や気候の変化の推定を行い、その結果に基づいて地下水流動解析を実施するといった方法は、地形や気候の長期的な変化に伴う地下水の流れの変化を推定する上で有効であり、本研究の成果は、将来数万年の地下水の流れの長期的な変化を推定するための技術の開発に貢献できる有用な成果といえます。

今後も、地形変化や気候変動を考慮した地下水流動解析手法の開発を進め、地層処分の長期的な安全性を評価するための技術基盤としての整備に取り組んでいきます。

(地層処分研究開発部門 東濃地科学研究ユニット結晶質岩地質環境研究グループ 小坂 寛)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

☆ ワシントン事務所
<National Ignition Facilityで最初の総合実験が成功裡に終了>
 国家核安全保障庁(NNSA)は10月6日、ローレンスリバモア国立研究所のNational Ignition Facility(NIF)で、最初の総合点火実験が完了したと発表しました。
 http://nnsa.energy.gov/mediaroom/pressreleases/nifexperiment100610

☆ ウィーン事務所
<ドイツ政府が新エネルギーコンセプトを決定>
 ドイツのキリスト教-自由主義政権は9月28日に、新たなエネルギーコンセプトを決定しました。このコンセプトには再生エネルギーの拡大と、原子力発電所の運転期間を平均で12年間延ばすことなどが盛り込まれています。

☆パリ事務所
<ラアーグ再処理工場の一部を解体するための公聴手続きが開始>
 アレバ社のラアーグ再処理工場の一部を解体するための公聴手続きが、9月27日に始まりました。

<2009年の放射線業務従事者の平均外部被ばく線量が、前年比でわずかに増加>
 IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)は10月4日、2009年の放射線業務従事者等(原子力、航空、医療等の業務を行う約32万人が対象)の一人当たりの平均外部被ばく線量が2008年比で4.1%増加し、0.21ミリシーベルトだったと公表しました。

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細は  http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黄金色に輝く田んぼに立っている案山子(かかし)。その昔は「臭(か)がし」とも呼ばれ、肉やネギ、ぼろ布などを焼いて異臭を発生させ、田畑の作物をねらう鳥たちを追い払うのが、その目的でした。

また、このかかしはかつて、田の神さまでもありました。作物をねらう鳥や獣には悪い霊が関係しており、かかしはその悪い霊を祓う農耕神でもありました。イワシの頭をヒイラギの枝でさして「魔除け」にするのも、もともとは節分に行った「焼いかがし」という、鬼や疫病神を追い払う行事の名残りだともと言われます。

とはいえ、かつては「神さま」だったこのかかしも、昔風のものは今では、あまり目にすることがなくなりました。異臭を放たなくなったかかしより、ぎょろりと大きな目玉の風船の方が手軽で、しかも鳥たちには効果があるといいます。「機能」が「伝統」を駆逐したわけです。

こうして暮らしの中の「神さま」がまたひとつ、消えていこうとしています。(佐)

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行  ○

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