━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2010.4.30 ━━━━━━━━

■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.125 目次 ----++

高速増殖原型炉もんじゅにつきまして____

現場から ____ 核燃料・酸化プルトニウムの基底状態を「第一原理計算」で再現する−システム計算科学センター

広報紙から ___  テクノ交流館リコッティで、第4回地域住民懇談会を開催(東海研究開発センター「フレンドリー通信)、人形峠環境技術センターの平成21年度の事業報告を紹介します。(同センター広報紙「にんぎょうとうげ」)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 高速増殖原型炉もんじゅにつきまして ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

原子力機構は、「高速増殖原型炉もんじゅ周辺環境の安全確保等に関する協定書」第11条の規定により、平成22年2月23日に福井県および敦賀市へ、高速増殖原型炉もんじゅの性能試験再開の協議願いを提出しておりました。4月28日に福井県知事および敦賀市長より、高速増殖原型炉もんじゅ性能試験再開について了承いただきました。

今後、性能試験再開に向けた最終の確認および制御棒引抜の準備作業を行い、国の立入検査によって最終確認をいただいた後に、性能試験を再開してまいります。

「もんじゅ」の性能試験につきましては、安全を最優先に透明性を確保し、地元の皆様からの信頼の更なる醸成に努めつつ取り組んでまいります。

今後とも、皆様方のご理解・ご支援をよろしくお願いいたします。

 http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2010/04/p100428.pdf

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

核燃料・酸化プルトニウムの基底状態を「第一原理計算」で再現する−計算科学者としてのプライドと連携研究の醍醐味− システム計算科学センター

システム計算科学センターでは、次世代原子力システム研究開発部門との連携を進め、シミュレーションによる研究開発の効率化に貢献するため、核燃料の物性予測に取り組んできました。核燃料の研究開発では、熱容量、比熱、熱伝導率のような物理量に代表される熱的特性を知ることが重要です。しかし、次世代炉で燃焼させる予定であるプルトニウムやマイナーアクチニドは、実験による物性値取得が容易ではなく、シミュレーションによる物性予測が求められています。

シミュレーションによる物性予測を成功させる一つの手段として、第一原理計算手法があります。この計算手法は一切の仮定なくして物質(ここでは燃料)の量子状態を正確に再現し、高精度な物性予測を最終目標としており、これを利用することが最も望ましいあり方ですが、現在の第一原理計算手法は、この目標を十分に達成しておらず、研究者のあらゆる要請に応えられる程には成熟していません。

例えば、核燃料の構成物質である二酸化プルトニウムを、通常の第一原理計算コードで計算すると、金属となりますが、実際は、金属ではなく、“常磁性絶縁体”です。次世代原子力システム研究開発部門では、既存の第一原理計算コードに、電子間の強相関効果を導入することで、少なくとも金属ではない“反強磁性絶縁体”という物性を再現していました。しかし、“常磁性絶縁体”に至る事は出来ず、その克服こそが、私たちに託された連携課題でした。この最後の詰めの部分は、正に理論や計算を専門とする研究者の出番であり、私たちがプライドをかけて取り組み解決すべき課題です。

研究開始当初、私はまず、強相関効果の取り込み方に問題があると考え、様々なアイデアを試しました。しかし、どれもうまくいきません。困った挙句、プルトニウム化合物だけでなくアクチニド化合物全般についての文献を広く調査したところ、分かったことは相対論的効果の重要性です。しかも、プルトニム化合物では、強相関と相対論の二つの効果を同時に扱う必要があることも判明しました。しかし、計算量はその分、大きく膨れ上がりましたが、これは効率良く並列計算することで克服しました。こうして私は、ついに“常磁性絶縁体”という正しい状態に辿りつくことができたのです。

以上、機構内で活発に行われている連携研究に今回初めて参加し、当初の目的を達成することができましたが、その結果、改めて分かったこと、そして、伝えたい事は、一見、困難と思える課題でも、異なる専門を持つ研究者がより集まると、解決できるということと機構では、異なる部門の研究者間の連携で、不可能が可能になるほど、幅広く様々な研究開発を行っているということです。私はこの連携の重要性を今回、身をもって体感し、そして結果を出せたと自負しています。

システム計算科学センター・シミュレーション技術開発室 中村博樹

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

いよいよゴールデンウィーク突入です。渋滞予測を見ると全国各地の高速道路はどこも大変な混雑が予想されています。事故など十分お気をつけて楽しい休日をお過ごしください。

そして原子力機構では、長期停止中でありました高速増殖原型炉もんじゅの運転再開を間近に控えています。施設を守る技術者には、休み中も施設の安全に努め、施設を見守っています。「もんじゅ」の状況に関しては、随時ホームページでも公開していく予定です。(上)

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行  ○

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