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■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.117 目次 ----++

現場から ____ 国際核融合エネルギー研究センターの研究建屋群が完成−北の大地に新たな研究拠点(青森研究開発センター)

海外事務所便り _ フランスのウラン鉱山廃止措置について

広報紙から ___ 原子力推進を表明したオバマ政権(戦略調査室「原子力海外ニューストピックス」) 「立坑を掘削している最深部へはどうやっていくのですか?」(東濃地科学センター 「地層研ニュース2月号」)

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

国際核融合エネルギー研究センターの研究建屋群が完成−北の大地に新たな研究拠点

国際熱核融合実験炉(ITER)計画の関連施設として、青森県六ヶ所村に建設を進めていた国際核融合エネルギー研究センターの研究建屋群が今年3月に竣工し、同時に実験装置の据え付けなどが開始されて、いよいよ研究センターとして本格稼働します。ITER計画では日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7つの国と地域が共同で南フランスのカダラッシュで核融合実験炉の建設を進めていますが、同時に日本と欧州との国際協力のもとで、ITER計画を支援するとともに核融合エネルギーの早期実現を目指した幅広いアプローチ(BA)活動が立ち上がっています。国際核融合エネルギー研究センターはBA活動のうち、那珂研究所で実施するサテライトトカマク計画以外のプロジェクトを実施するため、青森県六ヶ所村に新設された研究センターです。

国際核融合エネルギー研究センターには、管理研究棟のほか、3つの研究建屋があります。ドーム状の体育館のような形を持つIFMIF/EVEDA開発試験棟では、125mA, 9MeVの世界最大電流の重水素ビーム加速器の実証試験を行う予定です。この加速器は、核融合炉材料の中性子照射試験を行うIFMIF(国際核融合材料照射施設)の工学設計を完成させるための研究開発のひとつです。管理研究棟の隣に位置する計算機・遠隔実験棟には、核融合シミュレーションや材料計算を行う、高性能計算機(スパコン)が入り、2012年初頭からの運用開始を目指しています。また、将来、サテライトトカマクやITERと結んで、遠隔実験を行うための設備を整備する予定です。東の端にある原型炉R&D棟では、核融合原型炉に不可欠な技術である、発電ブランケットの中性子増倍やトリチウム増殖などの研究開発や核融合材料の開発を行う研究機器が入ります。

青森県には、三内丸山遺跡をはじめ、縄文時代の遺跡が多く出土します。国際核融合エネルギー研究センターのあたりも、縄文時代は格好の狩猟場所になっていたらしく、縄文人の作った落とし穴が数多く分布していました。2006年にBA活動の拠点として現在のサイトが決定した際に、約半年をかけて埋蔵文化財調査を行った結果発見された18個の落とし穴のひとつひとつを人手をかけて掘り起こし、記録保存しました。

縄文人が闊歩していた時代から数千年を経て、同じ場所に核融合の研究施設が建設され、欧州からの研究者10名をはじめ、核融合研究開発部門や青森研究開発センターの研究者や支援者が活動を開始した訳です。縄文人に負けない粘り強さと活力をもって、新たな研究拠点をつくっていきたいと思います。

(核融合部門副部門長 奥村義和)

━ 海外事務所便り ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。

フランスのウラン鉱山廃止措置について

フランス国内のウラン採掘は1950年代に生産が始まり、2001年にベッシーヌ鉱山のブルギアード鉱体の採掘中止によって終了しました。ウラン鉱山が閉山された理由は、高い生産コストのために採算性を失ってしまったためです。なお、この約50年間に5,200万トンのウラン鉱石と、1億6,800万トンの捨石を掘り出し、7万8,000トンのウランを生産しました。また5,100万トンの鉱さいを発生させました。

フランス国内の鉱山の大半は、アレバ社(旧SIMO社、旧COGEMA社)が開発しました。フランス国内には現在、跡措置が必要なウラン採掘跡が大小含め210カ所あります。これらは法律により、国内のすべてのウラン鉱山の廃止措置は、アレバ社が行うこととなっています。

アレバ社は現在までに、国内外に約3億ユーロ(約400億円)の予算を廃止措置に投じています。その内訳は、フランス国内に1億6千5百万ユーロで、残りがガボン、米国、カナダとなっています。

国内の廃止措置は、フランス中央部のオートビエーヌ県にある旧ベッシーヌウラン鉱山に約170人のスタッフが集まり、行っています。ここには分析施設、鉱石試験施設、資料や試料の保管倉庫があり、鉱山跡処置後の環境モニタリング試料や、国内の原子力発電所周辺で採取された環境モニタリング試料の分析を行っています。そのほかに、アレバ社が海外展開を進める上で必要となるウラン試料の鉱石試験等を行っています。

国内の旧ウラン鉱山の廃止措置作業は、今も続いていますが、旧ベッシーヌウラン鉱山や、その周辺の採掘跡の修復作業は、ほぼ終わりました。露天掘り跡は鉱さいや捨石などで埋め戻されてきれいに整地され、植栽が行われています。旧ベッシーヌウラン鉱山の南数キロメートルではルペイドラージ鉱体の露天採掘が行われましたが、そこでの修復作業は完全に終了。露天採掘跡は池となり、夏は、釣り堀として市民に利用されています。

(パリ事務所)

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

原子力推進を表明したオバマ政権

米国のオバマ大統領は1月27日、一般教書演説において、原子力利用の推進を表明した。演説では、再生可能エネルギーである太陽光発電への政府の支援による雇用の創出実績を述べた後に、クリーンエネルギーに関するさらなる雇用の創出のためには、原子力発電所の建設などが必要だと述べている。(詳細は、原子力機構HPの「事業の拠点」にある「原子力技術・資源調査」に収録された戦略調査室「原子力海外ニューストピックス」2010年第1号 http://www.jaea.go.jp/03/senryaku/topics/t10-1.pdf をご覧下さい)

幌延深地層研究センターでは坑道の健全性を確認しています。

地下深く掘った坑道には、周囲から圧力がかかります。このため幌延深地層研究センターでは、坑道の健全性を確認するために、坑道周辺の岩盤にかかる力を常時計測しています。(詳細は幌延深地層研究センター「月報」第40号 http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/geppou.html をご覧下さい)

「立坑を掘削している最深部へはどうやっていくのですか?」

(答えは東濃地科学センター「地層研ニュース2月号」http://www.jaea.go.jp/04/tono/miu_news/tisouken_news2202.pdf をご覧下さい)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

冬という言葉は、「冷ゆ」が語源だという説があります。「ひゆ」はその意味だけでなく、耳に響く音からして、たしかに寒さを感じさせる言葉です。また冬は、寒さが威力を「ふる(振)う」あるいは寒さに「ふる(震)う」という説もあります。

一方、冬は「ふ(殖)ゆ」から来たという説があります。秋になって木々は葉を落とし、葉からの蒸散と、それにともなう木の体温低下を防ぎます。なお植物にとって本当にこわいのは寒さではなく、寒さで細胞内の水分が凍ることにあります。凍結すれば、細胞が破壊されてしまうからです。

これに対応するため、植物はこの季節になると細胞内の水分を減らし、逆に細胞内に糖質などを蓄積させます。こうすれば細胞内が凍りにくくなるからです。

昔、染色家の人から、話を聞いたことがあります。桜からつくった染物の、そのあでやかな色は、美しい花びらからではなく、ごつごつした皮からとったものだそうです。

あの美しい花を咲かす時、桜は木全体でその色を表現しようとしています。桜は冬の間、目に見えないところで、春の準備を進めているに違いありません。

もしかしたら、今自分の桜の木の中は、もううっすらとピンクに染まっているかもしれません。

冬はやはり、殖ゆです。(佐)

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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部  佐田務、上野信行 JAEAロゴ ○

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