日本原子力研究開発機構

安全研究・防災支援部門原子力緊急時支援・研修センター

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緊急時初期対応

初動対応 (令3,4年度)

 支援・研修センターは、指定公共機関として原子力施設における原子力緊急事態等に対応するため、当直体制で国等からの原子力緊急時の通報連絡、支援要請等を受ける体制としています。当直長が通報等を受信した場合、通報内容を支援体制に基づく連絡系統に従って速やかに展開(電話、ファクシミリ、電子メール等)するとともに、緊急招集システムによる専任者及び指名専門家の招集、緊急時支援システム(テレビ会議システム、支援可視化情報データベース、防災業務情報共有システム等)の立上げなど一連の作業を行い、迅速な人的・技術的支援活動体制を構築して、初動対応を図ることとしています。また、定められた事象が発生した場合に原子力規制委員会が配信する緊急情報メール、情報提供メール を受信し、情報収集を行っています。
 原子力緊急事態は、情報収集事態、警戒事態、施設敷地緊急事態、全面緊急事態に区分されます。
 令和3年度には、以下のように警戒事態が2回、情報収集事態が3回発生しました。これらについて、初動対応を行いました。

原子力緊急時支援・研修センターで行った初動対応(令和3,4年度)

発生日 発生事象
令和3年5月1日 [情報収集事態]
宮城県沖地震により、石巻市が震度5 強
令和3年7月14日 [警戒事態対応]
落雷により学校法人近畿大学原子力研究所において停電が発生
令和3年10月7日 [情報収集事態]
千葉県地震により、神奈川県川崎市が震度5 弱
令和4年3月16日 [警戒事態対応]
福島県沖地震により、女川原発、福島第一原発、福島第二原発が震度6 弱
令和4年10月21日 [情報収集事態]
福島県沖地震により、楢葉町が震度5 弱

北朝鮮による「地下核実験実施」に係る対応

 平成24年4月の北朝鮮による3回目の地下核実験の実施可能性が高まったとの報道を受け、支援・研修センターでは、原子力基礎工学研究部門と連携し、夜間・休日を含めた24時間の対応体制を構築し、平成25年3月までの約11か月にわたり、同体制を継続しました。

 その後、北朝鮮による地下核実験が行われたとされる平成25年2月12日から2月22日まで、支援・研修センター及び原子力基礎工学研究部門では、北朝鮮を含む日本周辺地域を対象に、WSPEEDI-Ⅱによる放射性物質の拡散予測計算を実施し、予測結果を報告しました。予測結果は文部科学省から公開され、防衛省による航空自衛隊機を用いた試料採取計画策定に活用されました。

 なお、本件の対応については、「北朝鮮による地下核実験に備えた放射性物質の拡散予測体制の構築と実対応(JAEA-Technology 2013-030)」にまとめました。

 平成25年4月に北朝鮮核実験対応が文部科学省から原子力規制庁へ移管された後、原子力規制庁は原子力安全技術センターへの委託により、同センターにWSPEEDI-IIシステムの運用体制を構築しました。平成28年1月の北朝鮮による4回目の地下核実験実施の際には、原子力安全技術センターがWSPEEDI-IIによる放射性物質の拡散予測計算を実施しました。その後、原子力規制庁が原子力安全技術センターへの委託を終了したため、以降の北朝鮮核実験実施に際しては、原子力規制庁の要請に基づき支援・研修センターが支援しています。

 平成28年9月の北朝鮮による5回目の地下核実験および平成29年9月の6回目の地下核実験実施の際には、支援・研修センターは原子力基礎工学研究センター(旧原子力基礎工学研究部門)の協力の下、WSPEEDI-IIによる放射性物質の拡散予測計算を実施し、原子力規制庁に予測結果を報告しました。予測結果は原子力規制委員会から毎日公開され、以前と同様に防衛省による航空自衛隊機を用いた試料採取計画策定に活用されました。

 なお、5回目及び6回目の地下核実験対応及び大気拡散予測計算に使用した計算プログラムシステムの概要については、「北朝鮮による地下核実験に対する大気拡散予測の対応活動(JAEA-Technology 2018-007)」にまとめました。

東電福島第一事故への緊急時対応

 支援・研修センターは、平成23年3月11日(金)14時46分の東北地方太平洋沖地震の発生直後から、自身の立地する茨城県も被災する中、機能や体制を維持するとともに、地震及びその後の津波により引き起こされた福島原子力発電所の事故に対し、原子力機構の各拠点等と協力して支援活動を行ってきました。

職員の点呼(情報集約室)の写真
職員の点呼(情報集約室)
情報集約室での活動状況の写真
情報集約室での活動状況

 支援・研修センターでは、福島県オフサイトセンター(福島市)への派遣等から支援・研修センターにおける技術的な支援等まで様々な支援活動を実施してきました。平成23年6月末までの支援活動について、概要を下の表に示すとともに、支援分野ごとに活動内容、規模及び支援期間について記します。

表:支援・研修センターにおける主な支援状況 

また、併せて、支援・研修センターの設備や資機材についても記します。そのうち、特殊車両の活動状況については、下表の概要をご参照ください。

表:特殊車両の活動状況

 人員派遣等の規模については、下に示す平成23年6月30日時点の延べ人数を、より詳細な活動内容については、 東電福島第一事故への緊急時対応 及び報告書 「福島支援活動を踏まえた原子力防災にかかる課題と提言」(JAEA-Review 2011-049) 附録の時系列を参照してください。なお、支援・研修センター内に設置した「健康相談ホットライン」は、その後、平成24年9月まで続けました。
 

人員派遣の状況(平成23年6月30日時点、延べ人数)

外部への人員派遣状況
派遣先 主な役割 人・日
福島県 放射線支援班(緊急時モニタリング) 2,196
医療支援班(身体サーベイ等) 839
住民問合せ窓口対応(福島県自治会館) 386
WBC対応 90
福島オフサイトセンター総括班等 207
ロジ(機材輸送等) 902
講師(放射線測定講習会等) 93
安全管理者等(住民の一時立入支援) 691
茨城県 住民問合せ窓口対応(茨城県庁) 12
身体サーベイ(日立保健所等) 28
避難民等への説明対応(つくば市洞峰公園) 3
モニタリング計画立案支援(茨城県災害対策本部) 5
国関係 原子力安全委員会等 274
文科省(EOC) 2,745
国交省 8
その他 東京電力(WBC車操作指導) 6
小計 8,485

 

機構内での支援活動(支援・研修センター、東海本部等関係)
活動場所 主な役割 人・日
東海本部 機構対策本部 675
支援・研修センター(茨城) 支援・研修センター職員 3,324
環境モニタリング班 134
WBC対応(支援・研修センター内) 17
健康相談ホットライン 2,094
WSPEEDI-Ⅱ対応 53
支援・研修センター(福井支所) 支援・研修センター職員 487
原子力基礎工学研究部門 WSPEEDI-Ⅱ対応 175
小計 6,956

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