独立行政法人日本原子力研究開発機構
平成23年1月24日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

原子力機構とポーランド原子力研究所が「試験研究炉における研究開発協力のための取決め」を締結(お知らせ)

【概要】

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長:鈴木篤之 以下、原子力機構という)は、ポーランド原子力研究所と「試験研究炉における研究開発協力のための取決め」を策定し、 1月21日に署名しました。

原子力機構とポーランド原子力研究所は、本取決めのもとに試験研究炉の運転管理や照射技術に関する情報交換を行い、原子力機構の有する材料試験炉(JMTR)とポーランド原子力研究所の有する試験研究炉(MARIA)との連携を図り、相互の利用促進及び利用性の向上を目指します。

【取決めの背景】

原子力機構は、大洗研究開発センターに設置されたJMTR1)の平成23年度からの運転再開に当たり、欧米の主要な試験研究炉と協力し、アジア諸国の中核試験研究炉として国際的に活用される研究基盤の構築を目指しています。このため、各国が有する試験研究炉の利用機能の相互補完、照射技術の標準化や共有化等を図るための「ワールドネットワークの構築」を進めております。

他方、ポーランド原子力研究所2)は、今後、原子力発電所の建設や運転が計画されていることから、これらに必要な照射技術開発や人材育成等が急務となっております。

このため、原子力機構とポーランド原子力研究所は、双方が有する試験研究炉の利用促進及び利用性の向上を図ることによって、原子力研究開発や人材育成等を促進させる観点から本取決めの締結に至りました。

【今後期待できる成果】

原子力機構とポーランド原子力研究所は、本取決めのもとに照射技術や運転管理等の情報交換を行い、試験研究炉の連携を図るとともに、相互の試験研究炉の利用性向上を図ります。

具体的には、照射技術の標準化を図り、利用者が炉停止や照射容量不足等でJMTRを利用できない場合、代替としてポーランド原子力研究所のMARIA3)を利用する等、相互の補完的機能としての役割が期待できます。これらの相互補完は、老朽化によって世界中の試験研究炉が利用できなくなりつつある現状では、今後益々重要となります。また、双方の照射技術や施設管理の経験を共有することにより、双方の試験研究炉の機能性向上や効率化に大きく寄与できるものと期待されます。例えば、MARIAでは、JMTRで計画している医療診断用99Moの製造やハイブリッド自動車用Si半導体の照射を実施していることから、これらの有用な情報が入手できるものと期待しています。さらに、ポーランドでは、今後、原子力発電所の建設や運転が計画されていることから、これらに必要な照射技術開発や人材育成等にも貢献できるものと期待されます。

原子力機構では、この様な協力を進め、原子力基礎研究のみならず、原子力ルネッサンスと言われる原子力発電の世界的な導入に関しても、「JMTR」や「JMTRの運転・利用により得られた各種知見」を活用し、産業界への側面支援を行っていく予定です。

【取決めの概要】

署名日時: 平成23年1月21日 現地時間10時30分
署名場所: ポーランド原子力研究所(オトフォツク-スビエルク)
署名者: 独立行政法人日本原子力研究開発機構 理事 戸谷 一夫
ポーランド原子力研究所 所長 ヴィエテスカ シェストフ

主な協力内容として、以下の情報交換を進めます。
 @JMTRとMARIAの相互補完的協力に係る事項
 A照射技術の高度化に係る事項

取決め署名時の写真
(取決め署名時の写真)

以上

参考部門・拠点:大洗研究開発センター

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