【用語解説】

1) JMTR

試験研究炉のうち、主に原子炉内において、燃料や材料に中性子を当てる試験を行うことのできる原子炉を特に材料試験炉と言い、JMTRは原子力機構大洗研究開発センターにあります。

JMTRは国内最大の試験研究炉であり、熱出力50MW、発電用原子炉などで使用する燃料や材料を中性子で照射し、それらの耐久性や適性を実際に試験する、いわば「原子炉をつくるための原子炉」として建設され、昭和43年(1968年)に初めて臨界に達しました。現在JMTRは、平成19年度から4年間かけて改修を行っており、平成23年度から再稼働する予定です。JMTRの改修としては、原子炉機器等の一部更新と照射設備の整備を進めています。原子炉機器等の一部更新では、原子炉制御系統、制御棒駆動装置、一次冷却系統、二次冷却系統、ボイラー・冷凍機、電源設備、排水設備、炉室給排気系統の更新を行っています。

2) ポーランド原子力研究所

ポーランドの首都ワルシャワの東南30kmに位置するポーランド唯一の原子力研究機関です。その前身は、1955年にポーランドで初めて設立された国立研究所が母体となり、1983年に国立研究所のうち核課題研究所(Institute for Nuclear Problem)と核化学技術研究所(Institute of Nuclear Chemistry and Technology)が統合してポーランド原子力研究所(IAE, Institute of Atomic Energy)になりました。また、2007年には、放射性同位元素センター(POLATOM)を傘下とし、経済省所轄になりました。英文名は、Institute of Atomic Energy POLATOMです。職員数は約450人です。

3) MARIA

MARIAは、1974年に臨界を達成した熱出力30MWの東欧を代表する試験研究炉であり、燃材料の照射試験、放射性同位元素製造やシリコン半導体の製造、中性子ラジオグラフィ等の多種多様な照射試験を実施しています。近年、欧州内の医療用放射性同位元素の原料となる99Moの供給不足から、99Moの原料となる高濃縮燃料の照射を開始しました。照射した高濃縮燃料からの99Moの抽出は、オランダの民間会社で実施しています。なお、炉の名称(MARIA)は、放射線の研究でノーベル物理学賞及び化学賞を受賞したキュリー夫人(マリ・キュリー、ポーランドのワルシャワ生まれ)に由来しています。

(以上)


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