平成18年3月3日
独立行政法人
日本原子力研究開発機構
 
レーザー照射機能を有する極細内視鏡を開発
−胎児治療などへ応用−

 
 日本原子力研究開発機構(殿塚理事長)(以下、原子力機構)は、国際熱核融合実験炉(ITER)で必要とされる遠隔保守のための要素技術として開発した複合型光ファイバ技術に関する研究成果を原子力分野以外に応用することを目的に、産学との連携に基づく技術開発を進めてきた。その技術開発の一環として、国立成育医療センター(総長 秦 順一)特殊診療部の千葉敏雄部長と、胎児治療に使用可能なレーザー照射機能を有する内視鏡の共同開発を進め、試作機を完成させた。

 双胎間輸血症候群や胎児脊髄髄膜瘤等の先天性疾患の場合、出生後の治療には限界があり、一部の症例では胎児への治療、特に胎児内視鏡による外科治療が求められていたが、この治療が狭い空間である子宮内(羊水中)に浮遊する胎児を対象とすることから、現在の内視鏡手術機器には高度な技術的進歩が必要とされてきた。

 そこで、原子力機構が開発した複合型光ファイバ技術を適用し、目視観察機能と患部を焼くためのレーザー照射機能を一体化した結果、比較的容易かつ安全に正確なレーザー照射が可能と考えられるようになり、上記の先天性疾患の子宮内外科治療に威力を発揮するものと期待される。また、内視鏡の外径を2mmと小さくすることができて腹部に開ける穴の径も小さくなり、母体への負担が大きく軽減されることも期待できる。

 今後、国立成育医療センターにおいて本装置を使用した動物実験及び臨床試験が実施される予定である。
以 上
 補足説明資料
 語句説明

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