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JRR-3で製造したルテチウム-177を用いたラジオセラノスティクス薬剤開発に係る共同研究契約締結について(お知らせ)

令和6年7月31日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長:小口 正範)、株式会社千代田テクノル(代表取締役社長:井上 任)及び国立大学法人京都大学(総長:湊 長博)は、本日、研究用原子炉JRR-3で製造したルテチウム-177を用いたラジオセラノスティクス薬剤開発に係る共同研究契約を締結しました。

近年、放射性同位元素を用いた診断(Diagnostics)と治療(Theranostics又はTherapy)を融合させたラジオセラノスティクス(Radiotheranostics)が世界中で注目を集めている一方、我が国の医療用RIの調達は海外からの輸入に依存し、半減期による放射能の減衰、輸送の遅延・停滞の影響、輸送コスト高による研究開発費の負担増など、放射性医薬品開発に支障が生じています。

本共同研究は、JRR-3で照射製造した医療用RI(Lu-177)を用いて、国内で新たなラジオセラノスティクス薬剤の開発を進めるものであり、原子力機構、千代田テクノル及び京都大学の三者が共同し“RIプラットフォーム”と“薬剤プラットフォーム”を融合することで、がんに対する次世代ラジオセラノスティクス薬剤開発を加速してゆきます。また、本共同研究を通して、RI製造に関する技術伝承及び人材育成を図ってゆきます。

本事業の推進に当たっては、安全確保を最優先に、立地地域並びに国民の皆さまのご理解を得ながら着実に進めてまいります。

JRR-3について:https://jrr3.jaea.go.jp/

*:ルテチウムは原子番号71の元素であり、その同位体の一つであるルテチウム177は天然には存在せず、同位体の一つであるルテチウム176やイッテルビウム176に中性子を照射することなどで得られます。半減期は約6.65日でβ線を放出して安定同位体であるハフニウム177に壊変します。放出するベータ線のエネルギーや半減期ががん治療に利用する上で好都合であることから、近年核医学治療用薬剤への使用が拡大しています。