原子力機構HOME > 発表・お知らせ > 機構のお知らせ(ニュースボックス) > 先端基礎研究センター 齊藤 英治氏の日本学士院賞の授賞決定について

発表・お知らせ

研究開発成果をお知らせするプレスリリースやニュース、原子力機構週報の他、
皆様にご参加いただけるイベントのご案内など最新情報を網羅しています。

先端基礎研究センター 齊藤 英治氏の日本学士院賞の授賞決定について

令和4年3月14日、先端基礎研究センター 齊藤 英治氏(東京大学大学院工学系研究科教授)が日本学士院より日本学士院賞を授賞することが決定しました。

日本学士院は、学術上功績顕著な科学者を顕彰するための機関として文部科学省に設置されており、学術上特に優れた論文、著書その他の研究業績に対し授賞を行っていますが、 齊藤氏は「スピン流物理学の先駆的研究」について評価され、授賞することとなりました。

齊藤 英治
原子力科学研究部門 原子力科学研究所
先端基礎研究センター
スピン-エネルギー変換材料科学研究グループ
グループリーダー(客員研究員)

<研究題目>「スピン流物理学の先駆的研究」

業績:

スピン流によって強い電場が発生する「逆スピンホール効果」を発見した。

この発見によりスピン流の検出がはじめて可能となり、スピン流の研究やスピン流を使った様々な研究が世界中で盛んに行われるようになった。

さらに、逆スピンホール効果によるスピン流検出の手法に基づいて研究を展開し、絶縁体スピン流、スピンゼーベック効果、スピンホール磁気抵抗効果、動的スピン流生成など、スピン流科学における基礎物理現象の多くを観測した。

スピンゼーベック効果は温度差によりスピン流が発生する現象で、熱エネルギーとスピン流の間のエネルギー変換現象である。スピン流は逆スピンホール効果によって起電力を発生するため、スピンゼーベック効果は熱発電や熱流センサーなど応用面についても期待される。

主要論文:

E. Saitoh, M. Ueda, H. Miyajima, and G. Tatara,
"Conversion of spin current into charge current at room temperature: inverse soin-Hall effect"
Applied Physics letters 88 (2006) 182509.

K. Uchida , S. Takahashi , K. Harii , J. Ieda , W. Koshibae , K. Ando , S.Maekawa , E. Saitoh
“Observation of the spin Seebeck effect”
Nature 455 778-781 (2008)

(参考)日本学士院賞授賞の決定について - 日本学士院