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フランスとナトリウム冷却高速炉開発計画の協力に関する実施取決めを締結
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「JAEA」という)、三菱重工業株式会社(以下、「MHI」という)、三菱FBRシステムズ株式会社(以下、「MFBR」という)は、フランス原子力・代替エネルギー庁(以下、「CEA」という)、フランスFRAMATOME社(以下、「FRAMATOME」という)と協議を進めてきたナトリウム冷却高速炉開発計画にかかる協力について合意し、12月3日、同協力にかかる実施取決めを締結しました(以下、「本実施取決め」という)。本実施取決めは、先に締結された政府当局間取決め(日本・フランス間の高速炉開発協力に関する一般取決め:2019年6月26日署名)の下位取決めです。
ナトリウム冷却高速炉※1は、第4世代原子力システム※2と称される、高い安全性、経済性等を実現する次世代の原子力システムのうちの、最も有望な技術のひとつです。本実施取決めは、JAEA、MHI、MFBR、CEA、及びFRAMATOMEの五者が、この研究開発を政府当局間取決めに基づいた実施機関として行うことを定めています。
2014年8月から進めてきた「仏国次世代炉計画(ASTRID)及びナトリウム高速炉の協力に関する実施取決め」(以下、「ASTRID取決め」という)は2019年12月31日に所定の成果を上げて完了します。ASTRID取決めに基づく設計協力を通じ、我が国の立地条件におけるタンク型炉の設計概念を検討し、重要課題である耐震性を含めたその設計の成立性を有することを確認しました。今般の実施取決めにおいて、JAEA、MHI、MFBR、CEA、及びFRAMATOMEの五者は、このようなASTRID取決めの日仏相互に高速炉基盤技術の向上に寄与する大きな成果にかんがみ、引き続き、研究開発を効率的に進めていく事を目的として、シミュレーションや実験を主体とした日仏協力を継続していくことに合意しました。
具体的には、日仏相互の優位な技術を生かしたナトリウム冷却高速炉の安全性・経済性向上のため、以下の研究開発に関する協力をそれぞれ進め、併せて高速炉開発に適用可能な基盤を構築します。
- シビアアクシデント
- 化学リスク
- 構造材料
- 炉心材料
- 燃料技術
- 検査・計装
- 数値シミュレーションツール
- プラント機器開発
- 試験施設
- 安全
- 新型構造
本実施取決めの締結により、日仏協力を活用した高速炉の実用化のための基盤技術の確立とイノベーションを促進します。これにより、高い安全性を確保した上で、更なるコスト低減を志向した開発を推進します。同時に、国が決定した高速炉開発の戦略ロードマップを踏まえ、本協力で得た知見の民間企業等への提供につなげていきます。
※1:金属ナトリウムを冷却材として用いる高速炉
※2:米国エネルギー省(DOE)が2030年頃の実用化を目指して2000年頃に提唱した次世代の原子炉概念。燃料の効率的利用、放射性廃棄物の最小化を含むエネルギー源としての持続可能性、核拡散抵抗性の確保、炉心損傷頻度の飛躍的低減や敷地外の緊急時対応の必要性の排除等の安全性/信頼性の向上、及び他のエネルギー源とも競合できる高い経済性の目標を満足することを目指した原子炉概念を指す。
12月3日 経済産業省における署名式