■□■ JAEAメールマガジン 2018.2.9/No.485
-…-…*今号の一押し*…-…-…-…-…-
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によるがん細胞殺傷効果の理論的な予測に成功
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◆ Contents ◆
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┣【1】 トピックス
┣【2】 広報誌情報
┣【3】 イベント情報
┗【4】 その他の情報
…-…-…-…-トピックス…-…-…-…-
\ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によるがん細胞殺傷効果の理論的な予測に成功
-新しい薬剤の開発や治療計画の最適化に役立つ数理モデルを開発-/
【原子力基礎工学研究センター】
原子力機構、京都大学、筑波大学、電力中央研究所による共同研究グループは、ホウ素
薬剤によるがん細胞殺傷効果の違いを理論的に予測する新たな数理モデルを開発しまし
た。
ホウ素中性子捕捉療法は、ホウ素薬剤を投与したがん患者の患部に中性子ビームを照射
することで、正常細胞にあまり損傷を与えずにがん細胞のみを選択的に殺傷する治療
方法です。しかし、投与する薬剤の種類や濃度により治療効果が異なるにもかかわらず、
その詳細な依存性やメカニズムまでは明らかになっていませんでした。
本研究では治療効果を定量的に調べたほか、原子力機構が中心となって開発した放射線
挙動解析コードを用いた細胞レベルの放射線量解析により、治療効果の違いが薬剤濃度
の細胞内及び細胞間不均一性に起因することを解明しました。
本研究の成果である数理モデルを応用すれば、新しいホウ素薬剤の治療効果の予測や、
患者個人の症状に合わせたより最適な放射線治療計画の提案が可能となります。また、
他の放射線治療への応用も期待されます。
https://www.jaea.go.jp/02/press2017/p18020202/
\自ら学習し複雑な現象の本質を抽出可能にするモンテカルロ法の開発
-機械学習による量子シミュレーションの高速化-/
【システム計算科学センター】
原子力機構はマサチューセッツ工科大学との共同研究で、自己学習量子モンテカルロ
法の開発に成功し、固体中の電子集団のふるまいを計算する量子シミュレーションの
劇的な高速化を達成しました。乱数を用いて行うシミュレーションであるモンテカルロ法は、
統計を行う際のサンプリングの回数を増やすと精度が上がります。しかし、量子シミュレー
ションの多くは計算量が膨大であるために計算が実質的に不可能となるケースが多く、
物質の性質の理解に対する大きな障壁となっていました。そこで、本研究では“機械学習”
に着目し、膨大な学習データからコンピュータが自ら学習することで、最適な問題解決の
方法を見出す手法の開発に成功しました。
本研究の成果により、高温超伝導体や重元素化合物等、電子集団の複雑な挙動が鍵とな
る物質の量子シミュレーションの高速化が達成され、それら物性の機構解明につながるこ
とが期待できます。
https://www.jaea.go.jp/02/press2017/p18012602/
\軽量化を可能にする鋼材開発に向けた新たな分析手法の確立
-ものづくり現場における小型中性子源の貢献-/
【物質科学研究センター】
原子力機構と理化学研究所、東京都市大学との共同研究グループは、鉄鋼材料開発の
鍵となる「オーステナイト組織」の割合(相分率)を小型中性子源でも高精度測定することに
成功しました。
地球温暖化対策として、自動車などの輸送機器の燃費を向上させるための軽量化には、
薄くかつ高強度な高張力鋼板の利用が適していますが、プレス加工性との両立が実用化
の鍵となります。オーステナイト組織はこれを可能にする鋼組織の一つであり、この相分率
を正しく把握して制御することが、新たな高張力鋼板の開発に重要です。
相分率の測定には、鋼材に対して透過性の高い中性子を用いる「中性子回折法」が有効で
す。しかし、その中性子源は研究用原子炉などの大型実験施設に限られ、小型中性子源で
はビーム強度が低く、これまで測定されてきませんでした。
本研究では、効果的な遮へいの配置、利便性向上に向けた小規模回折計の設置などの
工夫により、小型加速器中性子源によって、オーステナイト組織の相分率の測定に成功し、
大型実験施設と同等の測定結果を得ることに成功しました。この技術は今後、鋼材の品質
管理や開発にとどまらず、広く材料の基礎研究や新素材開発および品質検査といったもの
づくり現場に貢献することが期待されます。
https://www.jaea.go.jp/02/press2017/p18020501/
\フランスメディアによる高速実証炉「ASTRID」に関する報道について/
日本がフランスとの共同研究を目指す高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」について、
フランス側が出力規模の大幅縮小を検討している旨の報道がフランスメディアによりなされ
ました。
原子力機構としては、報道の内容について、正式にフランスから連絡を受けていないため、
現時点で今後についてお答えすることはできません。
なお、日仏の政府機関間取決めの下位取決めとして原子力機構、三菱重工業株式会社、
三菱FBRシステムズ株式会社と仏国原子力・代替エネルギー庁、AREVA
NP
(現FRAMATOME社)との仏国次世代炉計画及びナトリウム高速炉の協力に関する実施
取決めが2014年に締結され、2019年末まで協力を継続する計画です。
https://www.jaea.go.jp/about_JAEA/article/2018/020601.pdf
\原子力機構週報/
https://www.jaea.go.jp/02/press2017/p18020201/(1月27日~2月2日)
https://www.jaea.go.jp/02/press2017/p18020901/(2月3日~2月9日)
…-…-…-…-広報誌情報…-…-…-…-
\ISCNニューズレター2017年1月号(No.0250)を発行しました/
【核不拡散・核セキュリティ総合支援センター】
今月号では放射性希ガス共同観測開始、米国の国務次官補指名承認公聴会の分析、
先進的Puモニタリング技術開発、核物質防護に関する国際会議やIPNDV会合参加など
について掲載しています。
https://www.jaea.go.jp/04/iscn/nnp_news/0250.html
★―…‥・…‥イベント情報…‥・…‥・―★
\サイエンスカフェ「不思議な陶土のおはなし」を開催します/
【東濃地科学センター】
昨年の11月11日より、サイエンスカフェを4回にわたって開催しております。
第4回は2月17日(土)に瑞浪市地域交流センター
ときわで「不思議な陶土のおはなし」
というテーマで行います。
東濃地域には良質な粘土(陶土)が産出し、焼き物の原料として活用されてきました。
陶土層は東濃地域の限られた場所にしか産出しません。
さらに、最近の研究で特異な環境条件で形成されたことがわかってきました。この回ではそ
んな陶土の不思議について紹介します。
先着20名、事前申込制となっておりますので、お電話にてお申込みください。
https://www.jaea.go.jp/04/tono/topics/topics1710_1/sciencecafe20171111_20180217.pdf
\地下を体験する見学会/
【瑞浪超深地層研究所】
平日の月・水曜日に研究坑道への入坑を伴う見学の受入を行っています。3か月先までの
ご予約が可能ですので、見学希望日の2週間前までにお電話で空き状況をご確認の上
ご予約いただき、E-mail又はFAXにて「施設見学申込書」をご提出ください。
https://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku_miu1.html
また、毎月1回、土曜日に施設見学会を開催しています。
2月の見学会開催日は24日です。2月19日までにお電話で空き状況をご確認の上
お申込みください。
http://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku_miu2.html
…-…-…-…-その他の情報…-…-…-…-
\技術習得や国内研修を支援しています/
【原子力人材育成センター】
原子力機構では、原子力に関する技術を習得するための入門的なコースから放射線管理
監督、原子炉施設運転管理のための専門的なコース、さらに短期に特定分野の知識、
技術を学ぶコースなどさまざまな研修を実施しています。詳しくは下記URLをご覧
ください。
http://nutec.jaea.go.jp/training_guide.html
…-…-…-…-メールマガジンの終了について…-…-…-…-
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<発行>国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 広報部
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