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■■■□□□ JAEAメールマガジン
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++---- No.93 目次 ----++

現場から ____米国の核不拡散政策について−核不拡散科学技術センター

広報紙から___ ウラン鉱床について−広報紙「にんぎょうとうげ」7月号

広報紙から___ 深度300m研究アクセス坑道における物理探査−地層研ニュース8月号

プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報

あとがき

━ 現場から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

米国の核不拡散政策について−核不拡散科学技術センター

「米国がくしゃみをすると日本が風邪をひく」という読み人知らずのたとえ話があるように(最近は中国がくしゃみをすると日本が風邪をひくようですが)、米国の政策は様々な観点から日本に対して影響を及ぼしておりますが、それは日本の原子力政策も例外ではありません。

今回はその米国の原子力政策の中から、今年4月のオバマ大統領のプラハでの演説で注目を浴び、当センターにとっても関係の深い、核不拡散政策について説明をします。

米国では、原子力全般について定めた、我が国の原子力基本法に当たる「1954年原子力法」とともに、特に米国が他国との原子力協力を行う場合の手続き等に関する核不拡散政策を規定する「1978年核不拡散法」が制定されています。

「1978年核不拡散法」は、1970年の核兵器不拡散条約(NPT)の発効と国際的な原子力開発拡大の機運の中で、1974年にインドが核実験を行うなど世界中に新たな核不拡散の懸念が高まっていることを背景にして、カーター大統領(当時)が示した、米国におけるプルトニウム利用計画の延期、他国に対する核燃料供給を保証するための措置、濃縮、再処理のための装置・技術の輸出禁止等を骨子とする核不拡散政策を具現化したものです。

この核不拡散法は従来の米国と他国との従来の原子力協力関係を大きく変更する内容を含んでいたため、この法律制定に伴い、米国との間に当時原子力協力協定を結んでいた日本を始めとする29ヶ国は、法律の要件を満たす新たな協力協定の締結が求められることとなりました。プルトニウムを利用する高速増殖炉計画を有していた日本はその協力協定改定作業に非常な苦労を経験しました。

先に述べた今年4月のプラハでの演説では、オバマ大統領が核軍縮の観点から核兵器の無い世界を目指すことを表明したことが注目を浴びました。しかし、このプラハ演説は核軍縮のことについてのみ言及された訳では無く、現在、原子力ルネッサンスと呼ばれるように原子力の役割が見直され、再び世界中で原子力開発が活発化する中で、原子力平和利用、核不拡散、地域問題等の核を巡る全般的な問題についてその考え方を示したものなのです。

この演説では原子力平和利用と核不拡散の観点から、国際的な査察の強化、国際核燃料バンクの構築についても言及されていますが、これらは核不拡散法に規定されたものであり、オバマ政権になってから初めて浮かび上がってきた考えではありません。

このように核不拡散法は、前ブッシュ共和党政権でも米国の同核不拡散政策の基盤になっていることはもちろんですが、オバマ大統領と同じ民主党のカーター大統領の時代に制定された法律ということもあって、今日改めて注目すべきものであると言えると思います。

オバマ政権の核軍縮・核不拡散政策の特徴的なことを挙げると以下のとおりです。

○核軍縮について
  • 2009年中に米露間で戦略兵器削減条約(START)の後継条約を締結し、他の核兵器国も含めた軍縮を推進する。
  • 米国の包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准に向けた取り組みを早急且つ積極的に進め、全世界的な核実験の禁止を実現する。
  • 核兵器製造に使用可能な核分裂性物質の生産を、検証可能な形で禁止する核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の締結に努める。
○核不拡散について
  • 核兵器不拡散条約(NPT)を強化し、条約違反が発覚した国や条約を脱退しようとする国に対する制裁措置を整備する。
○核セキュリティ
  • 脆弱な状況で存在する核物質を4年以内に保護確保する国際取組を提唱する。
  • 核の闇市場の解体、核物質の不法移転の探知及び阻止する。
  • 拡散に対する安全保障構想(PSI)及び核テロリズムに対抗するグローバルイニシアチブを持続的な国際制度とする。
  • 核セキュリティに関する国際サミットを1年以内に開催する。

このようにオバマ大統領は、国際的な枠組みを活用しながら、核軍縮及び核不拡散を強化した政策を指向していることが言えると思います。しかしながら、これまで見てきたオバマ大統領の政策は飽くまでも理念的、総括的な視点に立ったものであることから、今後、より具体的な核不拡散政策の公表が待たれるところです。

私たちは我が国に大きな影響力を与えうる米国の核不拡散政策について、歴史的な経緯の調査・研究を深めるとともに、新政権の動向を注視し、今後の我が国にとって実効性のある政策提言につなげたいと考えております。

(核不拡散科学技術センターの概要)
 核不拡散科学技術センターでは、核燃料物質等の計量管理、保障措置、輸送、核物質防護などにかかる基本計画の策定や業務の調整及び支援といった実務とともに、「核不拡散、原子力平和利用等の政策研究」、「核不拡散、保障措置及び核物質防護技術に係る開発」、「包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく国際監視システム支援」などを実施しています。また、大学等と連携して核不拡散に関連する国内外研究者等の人材育成に積極的に取り組んでいます。

(政策調査室 和泉 圭紀)

━ 広報紙から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。

ウラン鉱床について−広報紙「にんぎょうとうげ」7月号

ウランは原子力発電の燃料です。

ウランは花崗岩(かこうがん)と呼ばれる岩石に多く含まれています。

花崗岩中のウランが地下水に溶け出し、ウランを含んだ地下水は、砂岩や礫岩(れきがん)などの地層の中を流れます。すると地下水中のウランの性質が変化し、長い年月の間に地層の隙間に集まり、ウラン鉱床ができます。

このウラン鉱床(鉱石)からウランを取り出し、原子力発電用の燃料に加工します。

昭和30年(1955年)に、人形峠において日本で初めてウラン鉱床が発見されました。人形峠を中心に調査が行われたのは、人形峠周辺に花崗岩が広く分布しているからです。

人形峠環境技術センターの中には、ウラン探鉱を行っていた坑道があり、見学することができます。

この坑道の中ではウラン鉱床が地下水の働きによって形成された証拠を見ることができます。ウラン※に紫外線を当てると蛍光を発しますが、坑道では蛍光を発しているウランが、地層と調和して分布している様子がご覧いただけます。

※リンカイウランのみ蛍光を発します。

(原文はhttp://www.jaea.go.jp/04/zningyo/kouhoushi/2009/200907/2009_07.pdfでご覧になることができます)

深度300m研究アクセス坑道における物理探査−地層研ニュース8月号

瑞浪超深地層研究所の深度300mの研究アクセス坑道では、立坑掘削時の発破など工事に伴う振動を利用した物理探査(割れ目や断層などで反射してくる振動を受振器で測定することによる地下の構造調査)や岩盤中の割れ目などに水が流れることによって周辺に発生するわずかな電気を測定する物理探査を行っています。(続きはhttp://www.jaea.go.jp/04/tono/miu_news/tisouken_news2108.pdfをご覧下さい)

━ プレス発表 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━ 採用情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。

━ 調達情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一般競争(指名競争)参加資格の定期審査は、随時受け付けています。
 http://www.jaea.go.jp/02/format/index.html

入札情報などは、下記をご覧下さい。
 http://www.jaea.go.jp/02/compe/02.html

━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今年の夏は実験教室などを通じて子供たちと接する機会が多くありました。「なんでこうなるの?」、「どうして?」とまっすぐな質問を受け、脳の奥に眠っていた知識をたたき起こし、必死に説明していました。その説明がよかったのか、悪かったのか、子どもたちは非常に素直な反応をしてくれます。それは知識によるものだけではなく、言葉の使い方であり教える姿勢であり表情であり、さまざま要素があわさってのものだということを実感しました。科学や理科に興味をもつ子どもたちがもっと増えてもらえるよう努めてまいります。(上)

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