独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.241

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実用化開発の推進
　－６周年を迎えた産学連携サテライト－

原子力機構の保有する知的財産の産業界による実用化、商品化促進を目指して、原子力科学研究所の構外に社会に開かれた技術交流の場として平成18年に設置された「産学連携サテライト」は、数多くの企業の方々に活用され、６周年を迎えました。この間JAEAの実用化開発チームは、高感度ガス分析装置「ブレスマス」や環境分離型天秤装置を常時展示、稼働させ、ブレスマスに係る特許やガス分析の原理・手法等を測定実験を含めて技術的に説明し、質問に答える等、企業が解決を希望する技術課題に即応した実践型の産学連携に積極的に取り組んできました。
　産学連携サテライトは、どなたでもお越しになれる立入り自由な場として、これまでに民間企業、公的機関、農業生産法人など様々な企業・機関の方々に活用されてきました。
　当初から、呼気分析などの医療分野、再生アルミ材などの工業分野、清酒の香り成分などの醸造分野に関連した企業や大学からの技術相談に対して、技術指導、共同研究を行ってきました。しかし、精密な測定を行うには、排気コンダクタンスの調整、残留ガスや放出ガスの低減などの課題も判明しました。そこで我々のチームは企業ニーズや解決すべき課題と測定上の技術課題を分析し、装置の改良・工夫を行って、高品質の真空による高感度な測定を実現することで新たな領域での共同研究等の取組みも可能としました。
　最近は、ブレスマスに関する情報を得た企業や農業生産法人が食品などの非破壊によるガス測定技術の活用による付加価値化やブランド化を目指す等、新たな分野からの要望に応えるともに、多様な分野での効果的な実用化を推進しています。結果の一例として、「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の推進に関する法律」に基づき、原子力機構が連携参加者やサポート機関となり、企業の農商工等連携事業計画（第１回、第8回）の認定受領に貢献し、それによる企業業績向上に結びつけることができました。また、ブレスマス関係の実施許諾契約による特許収入も着実に獲得しています。
　さらには、実施許諾契約等を機構と締結している企業に対して、“JAEAライセンス企業”の呼称及びロゴマークの使用を許可する制度を産学連携サテライト設置年度から行っています。本制度を利用することは、機構の先端的科学技術成果を実施していることを示すひとつの指標となるもので、他の企業との技術的な差別化が図ることができ、企業活動の円滑な促進に資するものです。
　産学連携サテライトでは、今後も機構の研究者、技術者が科学的裏づけを基に、共同研究、技術指導などを通して、企業の技術開発や製品化に対して直接的支援に取り組んで参ります。

（産学連携推進部）