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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012.2.24/No.213 ━━━

〔現場から〕天然に存在する放射性核種−身近な食材「バナナ」を例に−(先端基礎研究センター)

〔東日本大震災発生に伴う対応状況〕

〔お知らせ、採用情報、調達情報〕

= 現場から ==========================

天然に存在する放射性核種−身近な食材「バナナ」を例に−

原子力機構の福島復旧に向けた取り組みのもと、我々先端基礎研究センターの研究者も放射線に関する知識と経験を生かし活動に携わっています。超重元素研究グループでも、これまでの研究で培ってきたγ線測定などの経験を生かして活動を行ってきました。ここでは我々の研究の紹介とともに、食材等に含まれる放射性セシウム(Cs)の影響を少しでも理解するための指標として、「バナナ」を利用することについて触れたいと思います。
  我々の研究グループは、超重元素に関する研究を行っています。超重元素とは、加速器を用いた人工的な合成によってしか得られない最も重い元素群で(地球上で)、これらの物理的・化学的な性質を知ることは、元素や原子核の存在限界や安定性、元素の周期律など、物質科学の基礎の解明に様々な情報をもたらします。しかし、最先端の大型加速器を利用してもわずかな量しか合成できない上に不安定であるため、世界的にも片手で数えられるほどの機関でしか研究できず、その性質は未だほとんどわかっていません。我々のグループは特殊な分析手法を独自に開発し、「104番元素(Rf)〜105番元素(Db)の特異な性質の発見」や、「重アクチノイド元素の電気化学的アプローチ」など、国内で唯一、このような特殊な元素の化学的性質に関する成果を得ており、世界的なCOEの一つとして最先端の研究を行っています。
  放射線の一種であるγ線は、我々の研究にとって多くの重要な情報を含んでいるため定常的に測定を行っています。福島原発事故前後でこのγ線のスペクトルを比較すると、事故前に自然環境中で観測されていたラドンや鉛、ビスマス、カリウム(K)など天然の放射性同位体に加えて、事故後には放射性ヨウ素やテルル、セシウム同位体など事故由来のγ線ピークをはっきりと確認できました。
  福島県の学校を対象に行ってきた「放射線に関するご質問に答える会」では、会場周辺で採れた野菜など身近な食材のγ線を測定し、どのような放射性物質が事故後に増えたのかスペクトルをもとに説明しています。特に、必須元素としてもともと人間の体内にあるカリウムに一定の割合で含まれている天然放射性核種K-40(成人男性で約4000 Bq(ベクレル))に注目し、カリウムが豊富なバナナを使って、「食品中に含まれる放射性Csの影響をバナナに含まれるK-40に換算するとどの程度となるか」を紹介しました。このK-40と放射性Csを食べたり飲んだりした場合の人への影響を比較するには、それぞれ異なる性質(放射線の種類やエネルギー、体内における蓄積・減衰の過程など)を補正する必要があります。この補正に国際放射線防護委員会(ICRP)の提唱する係数を利用すると、次のように人体への影響を預託線量(単位はSv(シーベルト))として比較できるようになります。
  標準的なバナナ1本は約10 BqのK-40を含むので(100〜150 Bq/kg)、成人の場合には、バナナ1本中のK-40から約0.062μSvの影響をうけます。一方、100Bq/kgの放射性Csを含む食材を100 g摂取すると、約0.13μSvの影響を受けますので、バナナ2本分に相当するということになります。報道などでよく耳にするこのシーベルトという馴染みのない単位から、放射線の影響の大小を理解したい場合には、このバナナを単位に利用すると感覚的に分かるように思います。ただし、放射性Csは摂取した量がそのまま体内被ばくに影響しますが、一方のK-40はもともと体内に存在しているカリウムの一部であり、飲食物中のK-40による内部被ばくが大きく変わるほど摂取することは考えられません。とはいえ、放射性Csがこれまでの生活の中で受けていた放射線と比べてどの程度の影響をもつか感覚的に理解したい時には、一つの目安として役に立つのではないでしょうか。

(先端基礎研究センター 超重元素研究グループ 塚田和明)

= 東日本大震災発生に伴う対応状況 ===============

福島事故で放出された放射性物質をテーマとするシンポジウムを開催します。

文部科学省は原子力機構などと共催で3月13日に、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い放出された放射性物質の分布状況等に関する調査研究結果」に関するシンポジウムを都内で開催します。
  http://www.jaea.go.jp/fukushima/decon03.pdf

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原子力発電所等の外部電源の信頼性確保に係る開閉所等の耐震性評価実施計画書を提出

http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p12021702/index.html

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原子力機構では福島県内で除染モデル実証事業を実施しています。

警戒区域や計画的避難区域などにある12市町村で、除染の効果的な実施のために必要となる技術の実証試験を行っています。
  http://www.jaea.go.jp/fukushima/pdf/kankyoanzen-20120123.pdf

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原子力機構が内閣府の委託を受けて実施している除染技術実証試験の概要を紹介します。

http://www.jaea.go.jp/fukushima/pdf/kankyoanzen-20120120.pdf

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福島第一原子力発電所事故への対応を行っています。

原子力機構は福島第一原子力発電所事故に関して、さまざまな活動を行っています。その全般的な内容については下記をご覧ください。
  http://www.jaea.go.jp/jishin/gaiyou2012/0223.pdf

= お知らせ ==========================

2月19日に茨城県で発生した地震による施設点検結果について

2月19日14時54分頃に茨城県北部を震源とする地震が発生し、茨城県那珂市では震度4が観測されました。原子力機構の那珂核融合研究所では主要な施設について速やかに点検を実施し、異常がないことを確認いたしました。

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原子力機構は3月8日に敦賀市内で、「世界の高速炉開発」講演会を開きます。

http://www.jaea.go.jp/04/turuga/fr_seminar/home_jp.html

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原子力機構敦賀本部からのお知らせ【No.67】

http://www.jaea.go.jp/04/xturuga/oshirase/index.html

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瑞浪超深地層研究所では3月24日に見学会を開催します。

http://www.jaea.go.jp/04/tono/kengaku/kengaku_miu2.html

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週報(2月18日〜24日)

http://www.jaea.go.jp/02/press2011/p12022401/index.html
  http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2012/02/w120224.html
  http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/repro/week/s120224/weekly.htm
  http://www.jaea.go.jp/04/tono/syuho/240218_240224.pdf

= 採用情報 ==========================

詳細は http://www.jaea.go.jp/saiyou/index.html をご覧下さい。

= 調達情報 ==========================

詳細は http://www.jaea.go.jp/02/2_6.shtml をご覧下さい。

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【配信希望、アドレス変更、配信停止】 http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html

【ご感想やご要望】 http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml

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【発行】 独立行政法人 日本原子力研究開発機構  広報部   佐田務、岡田学

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