独立行政法人日本原子力研究開発機構：JAEAメールマガジン　No.197

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東濃地科学センター　ペレトロン年代測定装置について

－阿夫志奈神社の奉納物や本殿の年代測定－

東濃地科学センターでは、地層科学研究の一環として、過去数万年までの地層ができた年代や雨水が地下水となった年代を推定するために、加速器質量分析装置（通称、ペレトロン年代測定装置）を使って測定を行っています。
　加速器質量分析装置では炭素の同位体のうち、放射性である¹⁴Cを利用して年代測定を行います。¹⁴Cは、時間とともに壊変し5730年で元の個数の半分になります。このように決まった時間で壊変して、その量が減少するという性質を利用し、¹⁴Cの濃度を測定することで年代を推定することができます。加速器質量分析装置を使うことにより、測定するための試料が少なくてすみ、また約6万年までの年代を調べることができます。
　今回は、室町・戦国時代といった今から数百年前の比較的若い年代についての測定の精度を確認するため、岐阜県加茂郡川辺町にある阿夫志奈（あぶしな）神社の奉納物や本殿の年代測定を行いました。
　阿夫志奈神社は、818年に社殿が建立され、897年に現在地（上川辺地区）に移されたと伝えられています。また、社務所には甲冑や絵馬など貴重な品が納められています。今回は、神社関係者や川辺町役場の方に御協力いただき、町指定文化財の獅子頭2種や本殿などの年代測定を行いました。その結果、2種の獅子頭に使われた木材の年代は、ともに14世紀から15世紀のものであることがわかり、獅子頭に刻まれていた作製年代である1532年及び1697年とは矛盾がなく、測定結果が妥当であることが確認できました。また、本殿改築年代については、1202年までの記録しかありませんでしたが、本殿の柱の測定結果から江戸時代以降にも改築されたことが判明しました。
　これらの測定結果については、7月5日に神社関係者や川辺町役場の方々に報告を行いました。
　原子力機構の「ペレトロン年代測定装置」で、約6万年前までの年代推定が可能です。本装置は、原子力機構外の方にも供用施設としてご利用いただけます。詳しくは、下記URLをご参照下さい。
　 http://sangaku.jaea.go.jp/3-facility_h23/04-facility/51-tono.html
　 http://www.jaea.go.jp/04/tono/shisetsu/pere/pelletron.html

（地層処分研究開発部門　東濃地科学研究ユニット　自然事象研究グループ）