━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の被害にあわれた方々に、心からお見舞い申し上げます。
日本原子力研究開発機構では東北地方太平洋沖地震発生直後から、東京事務所において理事長をヘッドとする緊急対応体制を確立し、機構内の全拠点からの情報収集と全拠点への指示を継続して行っています。
また、東京電力の福島第一・第二原子力発電所の緊急事態に対して、現在、当機構は国の要請を踏まえ、要員の派遣、健康相談ホットラインへの協力など全力を挙げて支援しています。
今回の地震発生以降、当機構の研究開発拠点における施設、設備、機器等について検査しました。現在のところ、一部の設備・機器等において復旧に長期間を要すると考えられる損傷はあるものの、環境への影響や火災等、また重篤な怪我等はありませんでした。
今回の地震に伴う当機構の対応状況と各拠点の状況は、下記の通りです。
最新の情報を更新しておりますので、http://www.jaea.go.jp/jishin/page.html もご覧ください。
1.東北地方太平洋沖地震発生に伴う対応状況について(3/11〜3/29の概要)
当機構では東北地方太平洋沖地震発生直後から、理事長を本部長とする「機構対策本部」を設置し、機構施設・設備への影響の把握と復旧に向けた対応、指定公共機関としての支援活動等を継続して行っています。
原子力緊急時支援・研修センターにおいては、福島第一・第二原子力発電所の緊急事態に関し、文部科学省の要請を踏まえ、支援活動を進めています。
原子力安全委員会においては緊急技術助言組織の構成員等として、機構の専門家が協力しています。
(1)原子力緊急時支援・研修センター
- 地震発生以降、国と連携して緊急時活動を継続中。
- 文科省の要請により福島第一に対する環境放射線モニタリング要員を派遣。第1陣7名は3/12の4時半に百里基地をヘリコプターで出発し、同日10時頃からモニタリング活動を開始。
- 第2陣9名及びモニタリング車は3/12の22時半頃に原子力緊急時支援・研修センター(以下、支援センター)から陸路で出発し、3/13朝からモニタリング活動を開始。
- 第3陣12名は3/14に福島県庁自治会館に到着し、3/15から同地点を拠点に活動開始。
- 第4陣11名及び測定車両5台(モニタリング車2台、移動式全身カウンタ車1台、移動式体表面測定車1台及び身体洗浄車1台)は、3/15の12時半頃に支援センターから陸路で出発し、3/16朝から福島県庁自治会館を拠点に活動を開始。
- 3/15、福島県からの要請で、線量評価の専門家の同県への派遣。3/16から県庁で活動を開始。
- 3/16、つくば市に滞在する福島県からの避難住民に対し、線量評価の専門家から放射線による健康影響について説明会を実施。
- 3/17、健康相談ホットライン開設。1 日当たり約400件の問合せに対応中。
- 3/18、モニタリング要員第5陣12名を福島県に派遣。
- 3/18、福島県庁に開設された住民問合せ窓口に専門家2名を派遣。
- 3/19、茨城県における環境サンプリングの計画(モニタリング計画)検討のため、専門家1名を茨城県に派遣。
- 3/20、モニタリング要員第6陣12名を福島県に派遣。
- 3/21、東京電力の要請により、移動式全身カウンタ測定車を派遣、測定開始。
- 3/22、モニタリング要員第7陣12名を福島県に派遣。
- 3/23、海洋研究開発機構が採取した海水試料を受領。
- 3/24、モニタリング要員第8陣12名を福島県に派遣。
- 3/26、モニタリング要員第9陣12名を福島県に派遣。
- 3/28、モニタリング要員第10陣16名を福島県に派遣。
- 3/28、健康相談ホットラインについて、関係機関の協力を得て、対応体制を充実。
(2)原子力安全委員会緊急技術助言組織等
- 機構の専門家11名が、原子力安全委員会の緊急技術助言組織の構成員等として協力しています。また、これに加え機構内の各部門の専門家が協力しています。
(3)文部科学省
- 3/29、文部科学省非常災害対策センター(EOC)における環境放射線・放射能データのとりまとめ等に関し、24時間対応体制を整備し、協力活動を開始。
- 3/29、文部科学省EOCにおける国際対応活動に対する協力活動を開始。
(4)福島第一・第二原子力発電所事故への対応状況のまとめ
3月29日時点での派遣者数は、下記の通り。カッコ内は3 月11日からの派遣者延べ人数(人・日)
○人員派遣等の対応状況
@外部への人員派遣の状況
<福島県>
- 緊急時モニタリング 11人(285)
- 身体サーベイ等(福島県立医大等) 15人(217)
- 住民問合せ窓口対応(福島県庁自治会館) 4人(46)
- 身体放射能測定 2人(24)
- 機材輸送等支援等 9人(171)
<茨城県>
- 住民問合せ窓口対応(茨城県庁) −人(12)
- 身体サーベイ(日立保健所) −人(28)
- 避難民等への説明対応(つくば市洞峰公園) −人(3)
- モニタリング計画立案支援(茨城県災害対策本部) −人(5)
<内閣官房・内閣府等>
- 原子力安全委員会緊急事態応急対策調査委員等 7人(95)
A支援センター等における対応状況
<支援センター(茨城)>
- 支援センターによる指揮・連絡・調整 32人(541)
- 安全統括部による要員派遣等調整 5人(124)
- 環境モニタリング班 4人(34)
- 身体放射能測定(支援センター内) 6人(12)
- 住民問合せ窓口(支援センター内) 20人(272)
- 拡散評価解析対応 −人(27)
<支援センター(福井)>
<原子力基礎工学研究部門>
合計 156人(2090)
*これら以外に機構内の各部門の専門家が協力しています。
○資機材提供の状況(3月26日現在)
<特殊車両>
- 移式全身カウンタ測定車 1台
- 移動式体表面測定車 1台
- 身体洗浄車 1台
- モニタリング車 3台
<サーベイメータ等>
- サーベイメータ(内 中性子4台) 192台
- 個人被ばく測定器 18台
2.各拠点の状況
3/11の東北地方太平洋沖地震発生以降、各拠点において順次施設の点検を実施しています。
茨城県の拠点においては、地震発生後、商用電源が停止しました。一部の設備・機器等に損傷はあったものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。
重油等の燃料を確保しつつ、非常用発電機により必要最小限の設備の制限運転を実施しました。
原子力科学研究所及び核燃料サイクル工学研究所においては3/13に商用電源の給電が再開され、順次、復旧中です。大洗研究開発センターにおいては、商用電源の給電が再開され、北地区は3/14に、南地区は3/22に復旧。那珂核融合研究所においては、3/16に商用電源の給電が再開され、順次、復旧中です。
青森研究開発センターにおいても、3/11の地震発生の際に商用電源が停止しましたが、施設・設備に異常のないことを確認。3/13までに商用電源の給電を再開しました。
その他の拠点(幌延深地層研究センター、高崎量子応用研究所、東濃地科学センター、敦賀本部、もんじゅ、ふげん、関西光科学研究所、人形峠環境技術センター)においては、特に異常はありませんでした。
(1)原子力科学研究所・J-PARC
- 3/11以降、順次施設の点検を実施。一部の設備・機器等に損傷はあるものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。
- J-PARCについては、建物と周辺に大きな分離が発生。停電のため現時点で施設内の加速器本体の状況が確認できませんが、今後の調査によっては復旧までに長期間を要する可能性があります。
- 3/13、15時頃から商用電源の給電が再開され、3/16までに特高変電所から各建屋・施設まで受電完了。3/17にほぼすべての施設で照明等の電源が復帰。火報等については約80%の施設で復帰。
- 3/15、県の工業用水を受水し、各建屋入口まで通水。配管状況等の点検を順次実施。
- 事務第1棟が損傷していることから、建屋の使用を停止。事務第1棟前に仮設の現地対策本部を設置しました。
- 3/23、上水の受水を開始。その後、各施設への上水の通水点検を継続中。
(2)核燃料サイクル工学研究所
- 3/11以降、順次施設の点検を実施。一部の設備・機器等に損傷はあるものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。
- 3/13、15時半頃から商用電源の給電が再開され、3/14にかけて非常用発電機からの電源供給を商用電源に切替済。その他の系統については建物応急危険度判定を実施しつつ、順次、復旧の予定。
- 3/15、県の工業用水を受水し、再処理施設については同日中に通水。他施設については配管状況等の点検を順次実施。
- 3/19、茨城県における環境サンプリングの計画(モニタリング計画)検討のため、専門家1 名を茨城県に派遣。
- 3/22、上水の受水を開始。その後、各施設への上水の通水点検を継続中。
(3)大洗研究開発センター
- 3/11以降、順次施設の点検を実施。一部の設備・機器等に損傷はあるものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。
- 3/13、20時半から同センター北地区の変電所について商用電源の給電が再開され、3/14に復旧。
- 北地区は上水、工業用水を受水し、通常も供給状態。
- 飲料水の提供に関し、3/18から3/21の間、大洗町に協力。
- 同センター南地区の変電所については、3/18までに変電設備建屋の補強工事をほぼ終了。3/19、商用電源の給電が再開。常陽については商用電源の受電を再開し、非常用発電機を停止。3/22、南地区について全施設復旧。
(4)那珂核融合研究所
- 3/11は一部の設備・機器等に損傷はあるものの、環境への影響、火災、重篤な怪我等はありませんでした。17時半に電源の負荷を引き抜き、施設・設備の使用を停止。
- 3/12の19時半頃、非常用発電機によりモニタリングポストを復電。
- 3/13、施設・設備の点検を行い、設備・機器等の損傷状態を確認。
- 3/16、18時半頃から商用電源の給電が再開され、受電については設備点検の後、順次復旧中。
- 3/28、上水が受水可能となったが、汚濁水のため構内への供給に向けて作業中。
(5)青森研究開発センター
- 3/11以降、順次施設の点検を実施。点検の結果異常なし。
- 大湊施設は3/12、関根浜施設は3/13に商用電源の給電を再開。六ヶ所村施設についても3/13に商用電源の給電を再開。すべての施設で商用電源から供給されています。
(6)本部
- 本部建屋は、空調機と一部の設備等に損傷があるものの、ほぼ建屋内は復旧。
- 3/23、本部建屋の水道復旧。
- 緊急時活動については、原子力緊急時支援・研修センターにおいて実施しています。
(7)その他拠点
- 幌延深地層研究センター、高崎量子応用研究所、東濃地科学センター、敦賀本部、もんじゅ、ふげん、関西光科学研究所、人形峠環境技術センターの各拠点ともに異常はありません。
- ふげん・もんじゅの取水口も、異常はありません。
3.原子力機構各拠点のモニタリングポスト(代表点)における線量率の推移
原子力機構各拠点のモニタリングポスト(代表点)における線量率の推移は、以下をご覧下さい。
http://www.jaea.go.jp/jishin/monitor.pdf
なお、モニタリングポストの一時的な指示値の上昇は、機構の施設からの放射性物質等の放出によるものではありません。
通常のモニタリングポストの線量率の値は、おおよそ0.03〜0.08μSv/hです。そのほとんどが大地や大気からの自然放射線によるもので、降雨等の影響により変動します。
4.健康相談ホットラインの開設
原子力緊急時支援・研修センター(http://www.jaea.go.jp/04/shien/index.html)に、今回の原子力災害に関する放射線安全・健康相談のホットラインが開設されました。
福島原子力発電所の周辺地域にお住まいで放射線による安全や健康への影響についてご心配のある方は、以下のお問い合わせ窓口までご相談ください。
<お問い合わせ窓口> 健康相談ホットライン 0120-755-199(10:00〜21:00)
5.原子力機構 敦賀本部の取り組み
原子力機構の敦賀本部では、「敦賀本部からのお知らせ 東北地方太平洋沖地震にかかる日本原子力研究開発機構敦賀本部の対応について」を発行して、地域での説明を行っています。
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/posirase/1103/o110324.pdf
━ あとがき ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東北地方を悲劇が襲いました。被災された方の哀しみと無念さは、想像を越えます。
今のこの時期は、卒業や就職など、多くの人にとって人生の節目にあたる時でもあります。
今度の地震が、どれほどの不幸をもたらしているのかを考えると、言葉を失います。
そんな中でも、季節は変わることなく、めぐってきます。東北地方では菜の花が、関東地方では桜の花が咲き始めました。菜の花前線を追いかけるように、桜前線が静かに日本列島を北上中です。福島県での桜の開花は、4月17日と予想されています。
桜の花が、被災した方々の心をいくらかでもなごませてくれることを、祈ります。
「一昨日(おととい)はあの山越えつ花盛り」(去来)(佐)
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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html
【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 ○
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