━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009.11.27 ━━━━━━━━
++---- No.104 目次 ----++
現場から ____ 第二再処理工場へ向けて−核燃料サイクル技術開発部門
海外事務所便り_ IAEA、イランとシリアに関する保障措置で報告書 ほか
広報紙から___ 第4回 原子力機構報告会を開催(「JAEAニュース」10月号)ほか
プレス発表、お知らせ、採用情報、調達情報
あとがき
再処理というと、六ヶ所再処理工場が建設され、現在操業前の試験を行っている状況にあることは皆様ご存知の通りです。一方、原子炉は現在軽水炉が主流で、最近プルサーマルの導入が始まりましたが、将来、軽水炉から高速増殖炉へと移り始める頃には再処理も現在の六ヶ所再処理工場に引き続く新しい再処理工場(第二再処理工場)が必要になると考えられています。
第二再処理工場では、軽水炉使用済燃料の他に、プルサーマルの使用済燃料、高速増殖炉からの使用済燃料を対象とすることが考えられています。これらの使用済燃料から取り出されるプルトニウムは高速増殖炉の燃料として利用することが合理的と考えられることから、第二再処理工場は原子炉の運転に不可欠な燃料供給を司り、今以上に重要な役割を持つことになると考えられます。また、第二再処理工場は、六ヶ所再処理工場よりさらに経済性や信頼性、核拡散抵抗性を高め、廃棄物発生量を低減することなどが望まれています。このような条件を満たす再処理工場はどのような姿になるのか、またそれに向けてどのような技術を開発しなければならないのか、ということを検討しているのが再処理設計グループです。
再処理設計グループは東海再処理工場の運転経験を持つ職員や新しい再処理技術の開発を担ってきた職員で構成され、平成21年度からスタートした新しいグループです。今年度は、軽水炉使用済燃料、プルサーマルの使用済燃料、高速増殖炉からの使用済燃料を一つの施設で処理する共用化再処理プラントを想定し、コプロセッシング法や先進湿式法、超臨界直接抽出法、フルオレックス法などの新しい再処理の方法(※)を採用するとどのような姿になるのか、またその場合のコストがどのようになるのか、また今後どのような技術開発が必要になるのか、といったケーススタディを行っています。
来年(2010年)からは原子力委員会で第二再処理工場に関する議論が始まる予定であり、この議論の場へ有用な情報を提供できるよう努めていきたいと考えています。
※新しい再処理の方法には、下記のようなものがあります。
コプロセッシング法:プルトニウムに常時ウランを同伴させ核拡散抵抗性向上を図った溶媒抽出技術
先進湿式法:晶析法によるウラン回収により、後段の溶媒抽出を簡素化した技術
超臨界直接抽出法:超臨界流体を用いて粉化した燃料から直接ウラン、プルトニウムを抽出する技術
フルオレックス法:フッ化によるウラン回収(六フッ化ウラン)と溶媒抽出を組み合わせた技術
(核燃料サイクル技術開発部門 再処理設計グループ 大森栄一)
*当機構の海外事務所から寄せられたニュースを紹介します。
☆ ワシントン事務所
<TMI原発で微量の放射能漏れ事故>
スリーマイルアイランド原子力発電所の原子炉格納容器内で11月21日に、微量の放射能が漏れた。
http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/news/2009/09-046.i.html
<高温ガス炉用燃料の燃焼性能世界記録を達成>
DOEは11月16日、高温ガス炉に使用するTRISO(TRistructual ISOtropic)粒子燃料を照射試験した結果、初期ウラン含有量を最大で19%(平均16%)消費し、世界最高の性能が得られたと発表した。
http://www.ne.doe.gov/newsroom/2009PRs/nePR111609.html
<上院に原子力を主軸とした気候変動対策法案が提出される>
Alexander上院議員(共和党、テネシー州)とWebb上院議員(民主党、バージニア州)は11月16日、クリーンエネルギー開発を促進するために”The Clean Energy Act of 2009”を提出した。
http://webb.senate.gov/newsroom/pressreleases/2009-11-16-01.cfm
☆ ウィーン事務所
<IAEA、イランとシリアに関する保障措置で報告書>
IAEAエルバラダイ事務局長は、イラン及びシリアの核問題に関する最新の報告書をIAEA理事国35カ国に配布した。
http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2009/iransyriareport161109.html
<IAEA/INPRO運営委員会がアクションプラン>
IAEAはINPRO(International Project on Innovative Nuclear Reactor and Fuel Cycles)運営委員会(Steering Committee)を開き、今後2年間(2010-2011)のアクションプランを承認した。
http://www.iaea.org/NewsCenter/News/2009/inpro1109.html
☆ パリ事務所
<仏電力EDF、高経年化対策研究所を開所>
EDFは11月16日、パリ南東部のモレ・シュル・ロワンに高経年化対策専門の研究所(MAI, Materials Ageing Institute)を開所した。
http://press.edf.com/the-edf-group/press/press-releases/noeud-communiques-et-dossier-de-presse/edf-inaugurates-the-new-materials-ageing-institute-603478.html
<EU、2012年までに京都議定書のCO2排出目標を達成>
EU委員会は11月12日、CO2を1990年のレベルより8%削減するという京都議定書で定めた目標値を、概ね2012年までに達成可能であると発表した。
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/09/1703&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage
<AREVAがチェコ電力会社とウラン濃縮に関する契約を締結>
仏AREVAは11月17日、チェコ電力(CEZ)と、同社のテメリン原子力発電所向けのウラン濃縮サービス契約を締結したと発表した。
http://www.areva.com/servlet/cp_cez_17_11_2009-c-PressRelease-cid-1257878506700-fr.html
*当機構が社外向けに発行している広報紙などからトピックスを紹介します。
*上記の詳細はhttp://www.jaea.go.jp/saiyou/index.htmlをご覧下さい。
今回は、カリブ諸島などに生息するハチドリの話。その名前は、ぶんぶんと蜂に似た羽音を立てるのが、語源らしい。体長は数センチしかないが、これでもりっぱな鳥類だ。
なお物体は、同じ形だと大きくなるほど、単位体積あたりの表面積は小さくなる。体積は3乗で増えるが、表面積は2乗でしか増えないからだ。だから動物の場合だと、大型化するほど、放熱する体表面積が相対的に小さくなる。寒冷地に住む恒温動物が大型化する傾向があるのは、このため。これをベルクマンの法則という。
逆に体が小さくなると、単位体積あたりの表面積の割合が増えるから、動物の場合だと皮膚からの放熱が増える。つまり体温維持が大変になる。
さて、さきほどのハチドリ。昼間はエサを食べ続けているから、体温を保てる。しかし、問題は夜だ。日中と違って、動きっぱなしというわけにはいかない。だいいち鳥目というぐらいだから、エサを探すこともままならない。とはいえエサを食べることができなければ、死んでしまうことになる。
この難題を乗りきるために、ハチドリは夜になると、恒温動物であることをやめた。夜間は体温を下げて、なんと冬眠してしまうのである。この眠りは、正確には休眠というらしい。そして翌朝になると、再び恒温動物にもどるのだ。
小さい体で生き抜くための、ハチドリならではの戦略が、ここにはある。(さ)
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【配信希望、アドレス変更、配信停止】http://www.jaea.go.jp/14/14_0.html
【ご感想やご要望】http://www.jaea.go.jp/13/13_1form.shtml
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【発行】独立行政法人 日本原子力研究開発機構 広報部 佐田務、上野信行 ○
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