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水戸偕楽園も、遅咲きの梅を残すのみとなりました。東海研究開発センターの桜も今にも花を咲かせようと、つぼみをふくらませています。東海村にも本格的な春がすぐ目の前まで来ています。
さて日本優勝で幕を閉じたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では、日本選手達の気迫あるプレイに、普段野球観戦をしない私もくぎ付けになり夢中で応援していました。あのような緊迫し、とてつもないプレッシャーの中で力を発揮できるのは、並大抵でない練習の賜物だと改めて気付かされました。原子力機構においても研究成果を多く出し、皆様に還元できるよう頑張ってまいります。
春は新入職員を迎え入れ、フレッシュな風が吹き込む季節です。冬の間に縮こまった身体を動かして心をリフレッシュし、心機一転スタートしましょう。
広報部情報公開課 南口久美子
さて、今回の「研究開発現場から」は、高崎量子応用研究所です。
群馬県高崎市にある高崎量子応用研究所には、サイクロトロン、タンデム加速器などで構成する、世界初の材料開発・バイオ応用技術開発専用のイオン照射研究施設(TIARA)があります。ここでは、イオンビーム利用研究を支えるための共通基盤的な技術開発を行っています。具体的には、イオンビームをマイクロ(千分の1ミリ)メートル以下に集束(絞り込む)させる技術、そのマイクロビームを応用して、大気中で細胞などの内部の元素を分析する大気マイクロPIXE分析技術、材料を立体的に微細加工するプロトンビーム描画技術、また原子が複数個集まったクラスターイオンビーム生成・応用技術などの開発を進めています。今回は、大気マイクロPIXE分析技術の応用による最近の成果を紹介します。
大気マイクロPIXE分析は、大気中のマグネシウムからウランまで多種多様の元素の分布を千分の1ミリメートル単位の高空間分解能と百万分の1グラムオーダーの高感度で一度に測定でき、真空中では構造が変化してしまう細胞内の微量な元素の分析研究に主に利用しています。これは、エネルギー3MeVまで加速した水素イオンビームを千分の1ミリメートル以下にまで集束できるマイクロビーム装置と、粒子線誘起X線放出(Particle Induced X-ray Emission, PIXE)法に基づく元素分析技術とを組み合わせ、世界で初めて開発した技術です。この技術を応用し、群馬大学と原子力機構が共同で、メス等を用いる外科手術ではなく気管支鏡などで採取できる極微量(数ミリグラム)の肺組織に含まれる多種の元素分布を、イメージ画像にできる技術を開発し、肺組織内のケイ素、鉄、マグネシウムの量や分布に、アスベストの吸入の有無による明確な違いが認められることを初めて明らかにしました。今回開発した分析法を用いると、手術をせずに、肺組織中のアスベストの種類や量を正確に分析することが可能となり早期に診断ができる有力な手法となるものです。
ホームページ:http://www.taka.jaea.go.jp/tiara/index_j.htm
アスベスト肺診断:http://www.jaea.go.jp/02/press2008/p08111101/index.html
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