11月5日には、私ども原子力機構の第3回報告会を開催させて頂きました。当日は、天候にも恵まれ、お陰さまをもちまして約600名の皆様にご参加いただき、盛会なものとなりました。足をお運びいただきました皆様に改めて御礼申し上げます。このような機会を通じて、私どもの業務について皆様にご理解いただけるよう今後とも努めてまいります。当日の様子はHPにも後日掲載いたしますので、どうぞご覧ください。
広報部次長 須賀 伸一
さて、今回の「研究開発現場から」は、核融合に関する研究開発を行っている核融合研究開発部門からです。
那珂核融合研究所の臨界プラズマ試験装置(JT-60)において、将来の核融合発電炉に向けた先進トカマク運転の研究開発を行ってきました。先進トカマク運転とは経済的な定常核融合発電炉に適した運転方式で、プラズマの圧力(温度×密度)を高めて核融合出力を増大するとともに、プラズマ自身が作り出す電流(自発電流)を増やすことが重要です。最近の実験では、プラズマ圧力の指標である規格化プラズマ圧力の向上を目指した炉心プラズマ開発を進め、国際熱核融合実験炉(ITER)の標準運転で想定される値の1.4倍以上の高圧力プラズマを世界最長の28秒間安定に維持することができました。また、10月13-18日にスイスのジュネーブで開催された第22回IAEA核融合エネルギー会議でこの研究成果を発表しました。
これまでの約24年間の実験で多くの研究成果を生み出してきたJT-60は、8月29日の実験をもって運転を停止し、超伝導コイルを有する次期装置(JT-60SA)への改造が始まりました。JT-60SAの建設は日欧で合意した幅広いアプローチの一環として推進している国際プロジェクトで、ITERサテライトトカマクとしてのITER支援研究と発電実証炉の建設に向けたITER補完研究の両方が実施できるように設計されています。JT-60SAでは、ITERの標準運転で想定される規格化プラズマ圧力の2倍以上の高圧力プラズマを定常に維持することが主要な目標になっており、この目標達成は発電実証炉の建設に向けた重要なマイルストーンになるはずです。
ITERの建設が始まろうとしている今、できるだけ早くJT-60SAの運転を開始して超伝導トカマク運転の経験を蓄積し、それをITERの実験に活用することが重要だと思います。これまで世界の核融合研究を牽引してきたJT-60での経験を活かし、2016年3月に予定されているファーストプラズマに向けて全員が一丸となってJT-60SAの建設を推進していますので、皆様の応援をお願いします。
(核融合研究開発部門の概要)
核融合エネルギーは燃料が偏在せずに豊富であること、原理的には高い安全性を有し、発電の過程において地球温暖化、酸性雨等の地球環境問題の原因と考えられる物質を排出しないことなど、人類社会の恒久的な持続的発展を可能にし得る原子力エネルギーのひとつです。核融合研究開発部門では、ITER計画、炉心プラズマ研究、核融合工学研究という核融合開発の鍵となる3つの分野を総合的に進めています。また、ITER計画と並行して行われる日欧共同の幅広いアプローチ活動等の国際協力を積極的に推進して、核融合エネルギーの実用化を目指しています。(ホームページ http://www.naka.jaea.go.jp/ )
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