超深地層研究所計画の概要
平成14年1月
核燃料サイクル開発機構
東濃地科学センター


1.超深地層研究所計画の位置づけ
 原子力委員会が2000年11月に決定した「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」では、高レベル放射性廃棄物の最終処分の実施に向けて必要な取り組みや関係機関の役割分担が示されました。サイクル機構には「これまでの研究開発成果を踏まえ、今後とも深地層の研究施設、地層処分放射化学研究施設等を活用し、地層処分技術の信頼性の確認や安全評価手法の確立に向けて研究開発を着実に推進すること」が求められています。また、「深地層の研究施設は、学術的研究の場であるとともに、国民の地層処分に関する研究開発の理解を深める場としての意義を有し、その計画は、処分施設の計画と明確に区分して進めることが必要である」との方針が示されました。
 これらの役割分担や方針に基づき、サイクル機構東濃地科学センターでは、「深地層の科学的研究」(以下、「地層科学研究」という。)を進めています。地層科学研究は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究であり、地層処分研究開発の基盤となる研究です。
 超深地層研究所計画では、放射性廃棄物の持ち込みや使用は一切行いませんし、将来においても放射性廃棄物の処分場にはできません。
 なお、高レベル放射性廃棄物の処分事業は、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成12年6月7日 法律第百十七号)」に基づき、原子力発電環境整備機構のみが行うことが明確に定められました。


2.超深地層研究所計画の目的
 サイクル機構は、「深地層の研究施設」として、日本の代表的な岩石である花崗岩と堆積岩を対象に、前者については超深地層研究所計画(岐阜県瑞浪市)を、後者については幌延深地層研究計画(北海道幌延町)を進めています。
 超深地層研究所計画では、地質環境の評価のための体系的な調査・解析・評価技術の基盤の開発と、深地層における工学的技術の基盤の開発を目的とした地層科学研究を進めます。
 この研究で得られる成果は、幌延深地層研究計画、茨城県の東海事業所で実施している地層処分研究開発等の成果と合わせて、地層処分技術の信頼性向上および安全評価手法の高度化に反映するとともに、国が行う安全基準等の策定や、実施主体が進める最終処分事業の推進にも基盤情報として活用されます。

3.超深地層研究所の設置場所
 超深地層研究所が建設される岐阜県東濃地域は、日本の代表的な岩石の1つである花崗岩が広く分布し、地層科学研究の対象として重要な地下水および断層やウラン鉱床などが存在します。また、東濃地科学センターが今までウラン資源探査などを通して培ってきた経験や情報などを地層科学研究に有効に活用できる、などの利点があります。
 東濃地科学センターは、これまで正馬様用地に研究坑道等を建設することを計画して超深地層研究所計画を進めてきましたが、今後は、瑞浪市の市有地に研究坑道等を設置することとして、市有地と瑞浪市のサイクル機構の所有地(正馬様用地)で超深地層研究所計画を進めます。市有地や正馬様用地の地下には、同じ花崗岩(土岐花崗岩)が分布するため、市有地では、これまでに正馬様用地で行われた研究の成果を踏まえて研究を進めることができます。
 正馬様用地は、地下の土岐花崗岩中に、月吉断層とその周囲に発達した割れ目が分布し、断層周辺の水理学的な特徴を把握するための調査技術の開発に適しています。

4.超深地層研究所計画の運営
 この研究を実施するにあたっては、他の地層科学研究で得られた成果や研究資源をあわせて活用することにより、研究を効率的に進め、また、成果をより充実させます。これらの成果は、透明性を確保する観点から、研究報告書などに取りまとめ積極的に公表します。また、学識経験者や専門家によって構成される委員会を設置し、研究に関する助言や成果の評価を受けます。
 研究所の施設は、東濃研究学園都市構想に相応しい国内外に開かれた研究施設とするため、地元大学をはじめとして、国際協力を含めた研究機関等との協力を進めるとともに、研究者による深地層についての学術的研究にも寄与できる総合的な研究の場として整備します。また、研究所の施設は、地震研究や地下空間を利用する研究の場として期待されていることから、広く国内外の研究者に開放し、極限環境における最先端の研究が行われる中核的な研究施設となるよう努めます。
 また、研究所は、建設段階から安全確保を図りながら公開していく予定であり、児童・生徒の学習の場としても活用して頂けるように整備し、積極的に開放していきます。さらに、施設の建設および研究の実施に際しては、環境の保全に努めます。
 地層科学研究終了後の研究所の跡利用の計画については、地域の方々や関係自治体の参加を得た「跡利用検討委員会」での検討の結果を踏まえて決められます。

5.研究の内容
 市有地における研究計画および施設計画、正馬様用地における研究計画は、別添1、別添2に示します。

別添1  市有地における超深地層研究所計画の概要
別添2  正馬様用地における超深地層研究所計画の概要