地層処分基盤研究施設
この施設は、原子力機構の地層処分研究を通じて得られる成果を集約し、地層処分の技術基盤を確立していく役割を持つ地上の施設です。
放射性物質を用いないで地下深い地層中での環境条件を様々に変化させた試験ができ、コンピュータ解析設備などを備えています。
高レベル放射性廃棄物を地層処分した場合に、地下水に対する安全確保の仕組み(ガラス固化体と金属製の包蔵容器(オーバーパック)、粘土充填層(緩衝材)および天然の地層を含めた『多重バリア』)の働きや性能を研究します。

地層処分基盤研究施設における研究の着眼点
深い地層にも、地下水が存在します。高レベル放射性廃棄物などの地層処分の安全性を評価するためには、地層処分システムの性能に及ぼす地下水の影響を研究することが重要です。
- 人工バリアと周辺の岩石の中で地下水はどのように動くのでしょうか?
- 地下水の水質はどのように形成されるのでしょうか?
- 地下水が人工バリア(緩衝材・オーバーパック・ガラス固化体)と接したとき、人工バリアはどんな材料が適切で、それがどのように働き、どんな性能を持つのでしょうか?
- そして、人工バリアと天然バリアからなる多重バリアは全体としてどんな性能を発揮するのでしょうか?
地層処分基盤研究施設では、このような着眼点を中心に研究を行っています。そして、これらの科学的・技術的な研究成果を集約し、地層処分が安全に実施できることを目指しています。
研究内容と試験設備(1)
人工バリア周辺の地下水の働きや水質の変化の仕組みを調べる
人工バリア周辺の岩石中の地下水の動きや水質の変化は、人工バリアの働きや放射性物質の抑制に影響を与えるので、これらの仕組みを明らかにする必要があります。

地下水の水質やその変化の仕組みを調べる試験
地下水の水質は、水の起源(雨水、海水など)、地下水が移動する場所にある岩石の種類、移動の時間、温度などの影響を受けます。この試験設備では、岩石試料を入れたカラム中に水を通し、その水質がどのように変化していくのかなどを測定します。

岩石中の地下水の動きの仕組みを調べる試験
(地下水が岩石の亀裂中を動く場合)
岩石に亀裂があると、地下水や地下水に溶けている物は、主にその中を動いていきますが、その動きは複雑です。この試験設備では、複数の亀裂を含んだ実際の岩石を用いて塩化ナトリウム(NaCl)などを溶かした溶液を流し、亀裂の交差部での地下水の流れ方などを調べます。

岩石中の地下水の動きの仕組みを調べる試験
(地下水が亀裂のない岩石中を動く場合)
亀裂のない岩石でも、岩石内部の水の流れやすさに違いによって、水の流れや水に溶けた物の動きに偏りが生じます。この試験設備では、岩石の代わりに小さなガラスビーズを充填した槽の中に、塩化ナトリウム(NaCl)や染料を溶かした溶液を流す試験を行い、水に溶けた物の動き方を調べます。

研究内容と試験設備(2)
人工バリアの性能を調べる
人工バリアの寿命、健全性などの性能は、高レベル放射性廃棄物中の放射性物質の閉じ込めに非常に重要なので、これを明らかにする必要があります。

人工バリアの寿命、健全性などを調べる試験
地下深部は、空気(酸素)がないため還元性の環境と考えられます。この環境で人工バリアと地下水が接触するとさまざまな現象が起こります。この試験設備では、酸素・二酸化炭素の濃度などを制御し、深い地下深部と同様の還元性の環境を作りだし、地下水と人工バリア(金属材料、粘土材など)との化学反応を調べます。

研究内容と試験設備(3)
熱と地下水と応力の相互のふるまいを調べる
人工バリア周辺岩体中の熱-水-応力-化学相互の影響や人工バリアの変形は、人工バリアの性能に大きな影響を与えるので、これを明らかにする必要があります。

人工バリア周辺岩体中の熱-水-応力-化学相互のふるまいを調べる試験
人工バリアおよび周辺の岩体には、廃棄物からの熱、侵入してくる地下水および地圧などが同時に相互に影響します。この試験設備では、岩石に加える力やヒーターの発熱量をさまざまに変化させて温度分布や水分分布、応力分布などを調べます。

人工バリアの変形などのふるまいを調べる試験
人工バリアの中では、緩衝材に地下水がしみ込んで変形することが考えられます。また、オーバーパックに炭素鋼を用いる場合、地下水との反応によって水素ガスが発生します。この試験設備では、緩衝材の変形や緩衝材の中での水素ガスの移動などを調べます。

性能の解析と評価
試験などで得られたデータを用いて、多重バリア全体としての性能を解析します。
