日本原子力研究開発機構

安全研究・防災支援部門原子力緊急時支援・研修センター

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航空機モニタリング支援

 日本原子力研究開発機構では、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故の周辺環境における放射性物質の分布調査を行うために、有人のヘリコプターを用いた航空機モニタリング技術の開発を行っています。事故から複数年経過し、継続的な航空機モニタリングを実施しつつ、手法の改善及び体制の整備を行っています。測定結果は地図上に表示され、放射線量の減少が視覚的に分かりやすく得られています。東京電力福島第一原子力発電所事故によって周辺環境に沈着した放射性物質から放出されるγ線の経時変化の把握を目的として、福島周辺の航空機モニタリングを行っています(規制庁受託)。

 放射性セシウムの影響が天然放射性核種からの影響に比べて比較的高い場所を測定する場合には、天然放射性核種は無視できますが、東京電力福島第一原子力発電所事故よりも比較的小さな事故を想定した場合は天然放射性核種の影響を考慮しなければなりません。事前に事故由来の放射性核種のない状況を調査しておくことで、実際の事故時に迅速かつ正確にバックグラウンドを減算することができます。また、事前に測定しておくことで、地域特有の航空管制の情報や山間部等のフライト上の危険箇所が事前に抽出できる等メリットが多くあります。以上のことから支援・研修センターでは、原子力規制庁からの委託を受け、原子力発電所周辺のモニタリングを進めることとし、平成27年度はその最初として九州電力川内原子力発電所周辺におけるバックグラウンドモニタリングを実施しました。その後、平成28年度は2か所(関西電力大飯・高浜発電所、及び四国電力伊方発電所)、平成29年度は3か所(北海道電力泊発電所・東京電力柏崎刈羽発電所、及び九州電力玄海発電所)、平成30年度は2か所(中部電力浜岡発電所、及び中国電力島根発電所)、令和元年度は2か所(北陸電力志賀発電所、及び東北電力東通発電所・日本原燃六ヶ所再処理工場)、令和2年度は2か所(関西電力美浜・日本原子力発電敦賀発電所、及び近畿大学原子力研究所・京都大学複合原子力科学研究所における研究炉)、令和3年度は2か所(四国電力伊方発電所、及び関西電力美浜・日本原子力発電敦賀発電所)の原子力関連施設周辺におけるバックグラウンドモニタリングを実施しました。

 また、国の総合防災訓練等において規制庁及び防衛省と協力して航空機モニタリングを実施し、緊急時における広域の放射線量を迅速に把握する訓練を行っています。

使用しているヘリコプター及び測定機器搭載の例
使用しているヘリコプター及び測定機器搭載の例

写真 使用しているヘリコプター及び測定機器搭載の例

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