原子力災害時の避難退域時検査では、多数の車両及び避難住民等の検査を行うことが想定されています。現在は、車両の指定箇所をタイヤとワイパー部とし、要員によるGM管式サーベイメータ等の表面汚染測定器で検査することを基本としていますが、効率的な避難退域時検査を実施するため、車両検査では可搬型の車両用ゲート型モニタの活用が計画されています。
当グループでは、車両用ゲート型モニタの活用のための基礎データを取得することを目的に、車両用ゲート型モニタの性能調査試験を実施しました*1。
本試験では、避難退域時検査における簡易除染の判断基準であるOIL4相当の汚染を模擬した密封線源を車両のタイヤとワイパー部に取り付け、実際の検査を模擬した走行試験にて車両用ゲート型モニタによるγ線の計数率を測定しました。車両用ゲート型モニタは、(株)千代田テクノル製のガンマ・ポールを使用しました。
試験の結果、車両が車両用ゲート型モニタを通過した際、タイヤの汚染であれば10km/h以下で99%以上の確率、ワイパー部の汚染であれば車速5km/h以下で84%以上の確率でそれぞれ汚染検知が可能であると推定されました。しかし、ワイパー部はタイヤよりも汚染検知が難しく、タイヤとワイパー部の汚染を同時に判定・評価するのは困難であることが分かりました。
今後も引き続き、ワイパー・タイヤの2箇所の同時汚染検査を迅速に行う方法等、車両用ゲート型モニタを用いた測定方法と運用方法を検討し、実効性のある避難退域時検査方法の開発を進める計画です。
国、地方公共団体、関係機関では、福島第一原子力発電所事故の教訓も踏まえ、緊急時対応の整備が進められています。本実習は、学生(高専生、大学生、大学院生)を対象に*2、国や地方公共団体、関係機関の役割、住民への防護措置等について理解を深めることを目的としたものです。本実習生は、以下の実習プログラムに沿って、原子力防災について幅広く学ぶとともに、新たな緊急時対応の整備に必要な課題に取り組みます。