用語解説

1) 高速実験炉「常陽」
 「常陽」は、国内初の高速増殖炉の実験炉として運転を開始し、今後製造される高速増殖炉の燃料や材料を開発するための照射試験・海外との技術交換を通して、世界の高速炉開発にデータ寄与等の貢献が求められている。
なお、実験炉とは原子炉開発において、設計、建設、運転及び各種試験を通じ、原子炉の実用化に必要な各種データを得るための原子炉であり、「もんじゅ」のように、大型化に係る技術的な課題並びに経済性に関するデータを得ることを目的として作られた原子炉は、原型炉と呼ばれている。
2) 計測線付実験装置
 照射試料である被覆管等の材料を、一定温度で照射する実験設備。今回使用したのは、計測線付実験装置(温度制御型材料照射装置)の2号機で、MARICO-2(マリコ2号機)(MARICO:Material Testing Rig with Temperature Control)と称している。
本装置は全長が約11mあり、試料部、保持部、駆動部から構成。試料部は照射試料が装填され、炉心に挿入される部分。保持部は炉心上部機構内にあり、試料部を保持するための爪や、照射試験終了後に試料部を切り離すためのカッター機構がある。駆動部は試料部を上下に移動させるためのもの。
3) 炉心上部機構
 炉心上部機構は、小回転プラグに取付けられている。主な機能は、燃料集合体等の出口冷却材温度の測定と、制御棒を所定の位置に支持すること。
4) 回転プラグ
 回転プラグは原子炉容器の蓋の役割を果たしているもので、独立に回転する大回転プラグと小回転プラグが約500mm偏心して設置されている。大小それぞれの回転プラグの回転角度を組み合わせることにより、炉心及び炉内ラックの任意の位置に燃料交換機を移動させる仕組みとなっている。
5) ハンドリングヘッド
 計測線付実験装置の試料部の上端にある部品で、試料部の移送等を行う際には、この部分をつかむ。外径φ78 mm×内径φ73 mm×長さ195 mmの円筒形状である。
6) 炉内ラック
 燃料集合体等を原子炉内で一時的に貯蔵、冷却したり、材料の照射試験等を行う設備。炉心と同心の円周上に配置され、燃料集合体等を入れるポットを収納できる構造となっている。
7) 整流板
 目的の燃料集合体等の出口冷却材温度を、できるだけ外乱なしに測定するために設けられた、ナトリウムの流れを整えるためのステンレス鋼製の板。炉心上部機構の下端に格子状に設置されている。