平成20年9月 1日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
大洗研究開発センター

高速実験炉「常陽」における計測線付実験装置との干渉による
回転プラグ燃料交換機能の一部阻害に係る原子炉内観察について


1. 経緯

 高速実験炉「常陽」1)では、計測線付実験装置2)(以下、「MARICO-2」という。)との干渉による回転プラグ燃料交換機能の一部阻害に関して、平成19年11月9日に原子炉等規制法に基づく報告書(第1報)等を提出しました。(同日プレス発表)
 その後、原子炉内の詳細な調査を目的として、カメラを用いて集合体の頂部等の観察を実施しました。また、原子炉内で遠隔操作が可能な装置を新たに製作し、炉心上部機構3)下面の観察を実施しました。
 これらの観察状況について、本日、原子炉等規制法に基づく報告書(第2報)等を提出し、文部科学省、茨城県及び関係市町村へ報告いたしました。
2. 観察装置

 集合体の頂部等を、回転プラグ4)上に設置したカメラにより観察しました(図-1参照)。
 また、炉心上部機構の下面を観察するには、炉心上部機構の下側に観察装置を挿入して、上方向を観察する必要があります。炉心上部機構下面観察装置は、装置の先端部を原子炉内でL字型に折り曲げ、炉心上部機構下面と集合体頂部の間(約70mm)にファイバースコープを挿入する構造となっています(図-2参照)。なお、観察装置から炉心上部機構下面までの距離が約40mmと近く、1回の撮影範囲が狭いことから、直径約1mの炉心上部機構下面を57領域に分割して観察しました。
3. 原子炉内観察状況

 主な観察状況を以下に示します。
集合体の頂部等に脱落部品や、損傷等が無いことを確認しました(図-3参照)。
炉内ラック5)R16上に突き出たMARICO-2の試料部から外れたハンドリングヘッド6)が、炉心上部機構内にあるMARICO-2の保持部に接続していることを確認しました(図-4参照)。なお、ハンドリングヘッドと試料部を接続していた固定ピン6本は、ハンドリングヘッド部分では確認できませんでした。
炉心上部機構の下端に設置された整流板7)に変形がありました。また、三角形状の影は整流板が変形・破損し、下側に変位したものであることを確認しました(図-5参照)。
 今後、炉心上部機構下面の変形箇所や変形量等の詳細な評価を実施するため、観察画像の貼り合わせ等を継続するとともに、観察結果を分析し、原因究明、脱落部品の確認及び復旧に向けた対策を検討します。
用語解説
以上