第11章 大型炉の設計と研究開発

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参考文献
1)福村、他:“太径圧力管を用いた高度化炉心の研究”動燃技報 No.93、P79−85(1995年)
2) 動力炉・核燃料開発事業団:“動燃30 年史”、P312−313,(1998年)


11.6 その他の設計検討
 以上のようなA T R大型炉の設計研究の他に、ATR の特長を生かし、ATR の可能性を追求する設計研究として、自然循環型中小型安全炉、フェニックス燃料・TRU燃焼炉心、高転換・高燃焼ATR等の検討を行った。
(1)自然循環型中小型安全炉
 ATRにおいて、再循環系を自然循環とし、重水系を独立2ループとするなどのATR中小型安全炉の検討を行った。炉心出力は、1,000MWt とし、原子炉冷却系は、再循環ポンプなしで自然循環冷却ができるように、蒸気ドラムを下部ヘッダーから20m上に設置する。圧力管本数は、320本×2ループとした。重水系は、通常運転時に、ポンプによる強制循環とし、外部電源喪失時等に、自然循環で冷却する構造とした。また、本原子炉の炉心は、電源喪失後、約7,200秒まで
ドライアウトしない解析結果を得た1)
(2)フェニックス燃料・TRU燃焼炉心
 重水炉であるATRの燃料利用の柔軟性を生かし、高燃焼度を達成するフェニックス燃料炉心の検討を行った。フェニックス燃料は、プルトニウム同位体組成比を適正な組成にすると、核分裂性物質の消滅と生成のバランスが取れ、余剰反応度が小さいにもかかわらず、燃焼度を非常に高くとれる魅力がある燃料である。
 実証炉と同じ炉心体系で、54本クラスタ燃料を用いた場合の解析を行った結果、通常の燃料の約3倍(3〜4年間)まで、燃料交換なしで運転可能な見通しを得た。また、ATRでアメリシウム、ネプツニウム等のTRUを燃焼させた場合を検討した。外層燃料要素に241Am または237Np を0.5w/o 添付することにより、炉心特性を悪化させることなく、燃焼末期でTRUが約50%消滅するとの結果が得られた1)

参考文献
1) 動力炉・核燃料開発事業団:“動燃30 年史”P314 − 317、(1998年)



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