第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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 なお、「ふげん」のMOX燃料製造は、核分裂性物質(Pu+U)の割合を一定にすることとしており、プルトニウム組成が劣化し、241Am割合が増えた場合も、その補償はないため、炉心設計時に補正を行うことにより対応している。

7.3.4 炉心管理コードの精度評価
 「ふげん」の運転実績から得られたデータに基づき、炉心管理コードの精度評価を以下の8項目について行ってきた。
炉内出力分布評価(PCM走査データとの比較)
領域出力分布評価(RPM校正データとの比較)
集合体出力分布評価(γスキャンとの比較)
臨界固有値評価(運転に伴う固有値変化)
炉心寿命評価(運転に伴う10B濃度変化)
冷却材ボイド反応度係数評価(RCP切替え時)
出力係数評価(原子炉停止時)
制御棒価値評価(10Bとの置換により実施)
 これらの評価内容の詳細を以下に示す。
(1)炉内出力分布評価
 「ふげん」においては、局部出力検出装置(LPM)を炉内に16体装荷している。1本のLPMは、4個の素子からなり、それぞれの素子は、電極に234Uと235Uが塗布された核分裂電離箱である。1月に1回の頻度でLPM校正を行っている。LPM校正は、出力較正用検出装置(PCM)を炉心内のすべてのLPMチャンネルに挿入して行っている(図7.3.18参照)。
 第31サイクル初期にPCMにより測定したLPM位置における軸方向中性子束分布の例を図7.3.19に、計算値とともに示す。同図において、第9ノード位


図7.3.18 「ふげん」炉心構成

置で、中性子束分布が歪んでいるのは、この位置にアルミ製防振板が設置されているためである。
 PCMにより測定した炉内出力分布の実績値と計算値との比較を図7.3.20(ATROPOSとの比較)、図7.3.21(POLESTAR差分法との比較)、図7.3.22(POLESTAR近代ノード法との比較)に示す。
 ATROPOSによる計算誤差は、約10%以内であり、プロセス計算機による炉内出力分布監視が、十分な精度をもって行われてきたことを確認した。



図7.3.19 第31サイクル初期のLPM位置における軸方向出力分布


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