第2章 「ふげん」プロジェクトの誕生

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(1)自らの手で設計を行い、自らの手で重要機器の“know−how”を確立する。
 新型転換炉の設計は、“設計法”“設計基準”及び“採用するデータ”を自ら考え、自身で判断して決定し、“システム設計”が行えることを第一とした。炉心性能、安全性、燃料集合体及び重要機器は、できるだけ実規模試験を行って、その性能を実証・確認し、その“know−how”が我が国に蓄積されるように開発を進めた。
 このため、大洗工学センターに炉心性能、安全性及び燃料集合体などの耐久性に関する大型試験施設を設置した。さらに、炉体構造、圧力管集合体、燃料交換装置などの重要機器については、実規模の製作・試験を行い、実機を設計・製作することとした。
(2)開発に必要な情報とそれが必要とする時期を明確にして開発を進める。
 プロジェクトにおいては、その推進と変更について決断しなければならない時にしばしば遭遇することがある。その決断は研究開発などから得られた情報に基づいていてなされるが、開発である以上、情報の完備は期し難いし、必ずリスクを伴う。
 この決断にあまりにも多くの情報を要求すれば工程は遅れ、また不十分な情報を基にして着手すれば誤りを犯すことになりかねない。この問題を合理的に処理できるようにするため、いかなる情報がどの時期に必要かを分類し(表2.4.2)、その反映すべき
対象を明確にした上で、開発計画を立てた。
(3)既存技術は極力利用するが、必ず自ら評価し、必要あれば自ら検証する。
 このような大きなプロジェクトは、限られた人、限られた資金及び限られた期間の中で、いかに開発リスクを排除しながら完成するかがポイントになる。したがって、既存の技術は極力利用することにしたが、その利用にあたっては、自ら評価し、必要あれば自ら検証することとした。


2.5 開発体制
 新型転換炉の開発は、国家プロジェクトとして開発することとなり、その開発体制は、動燃を中心に原子力産業5グループ〔(株)日立製作所を幹事会社とし、三菱重工業(株)、(株)東芝、富士電機(株)、住友重械工業(株)〕が発電所設備の設計・製作・建設を分担して担当した。
 また、建設管理、運転は経験のある電源開発(株)、日本原子力発電(株)等の電力各社の協力を得て(開発が進められた)、更には、原研、大学等の研究機関等の協力を得て全日本の体制で開発が進められた。

表2.4.2 「ふげん」の開発に必要な技術情報の分類



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