プラント運転管理技術の開発成果(3)



(3) トリチウム管理技術

  「ふげん」は、減速材に重水を使用しているため、重水を構成する重水素が中性子を吸収してトリチウム(三重水素、半減期12.3年)を生成します。また、減速材(重水)中のトリチウム濃度は、運転時間とともに上昇しており、2003年3月現在において

約260MBq/cm3となっています。
  このため「ふげん」では、トリチウムに対する放射線管理を必要とし、作業管理方法の検討、測定技術及び防護具の改良・開発を行いトリチウムの管理技術を確立してきました。



重水中トリチウム濃度変化



トリチウムの測定・評価方法

  空気中のトリチウム測定・評価方法については、簡易かつ高感度に測定する方法を「ふげん」で開発、最適化してきました。この中でも、膜分離式トリチウムモニタについては、「ふげん」が独自に開発してきたものです。その原理は、水分のみが透過する中空糸膜に測定対象のサンプル空気を通気し、水蒸気状のトリチウムをキャリアガスに移行させ電離箱で測定するものであり、ラドン・トロン等空気中にガス状で含まれる自然放射性核種の影響を低減させトリチウム濃度を高感度で測定できるのが特徴です。
  このモニタは、「ふげん」の各建屋の排気筒トリチウムモニタや重水精製建屋のエリアトリチウムモニタ及び作業環境測定用の可搬型ルームモニタとして使用しています。



膜分離式トリチウムモニタの概念図