プルトニウム利用技術の確立と実証(6)



「ふげん」のプルトニウム利用と核燃料サイクル技術の広がり

  現在、フランスやドイツなどのヨーロッパの国々を中心に軽水炉におけるプルトニウムリサイクル、すなわちプルサーマルが進められています。2001年12月現在、全世界では3543体のMOX燃料の軽水炉への装荷実績があります。フランスが1614体、そしてドイツが1204体、スイスで276体、ベルギー257体を利用しています。「ふげん」は初臨界以来25年間に772体のMOX燃料利用実績を有しており、これを世界の軽水炉で装荷されたMOX燃料に加えて比率をとると実に約1/5に相当します。単一の炉としては世界で最大の装荷実績です。それは単に「ふげん」でのプルトニウムの本格利用の成功だけでなく、東海再処理工場で軽水炉燃料から回収したプルトニウムの利用や「ふげん」自身の使用済MOX燃料から回収されたプルトニウムの再利用により、国内でのプルトニウムリサイクルの輪を初めて完結し、さらには軽水炉燃料から回収された減損ウランや人形峠濃縮プラントで回収された劣化ウランをMOX燃料に再利用し、ウランサイクルの輪も完結させるという、まさにわが国の原子力政策の基本である核燃料サイクルの確立を体現する大きな成果です。
  このように「ふげん」は、わが国における核燃料サイクルの技術開発の牽引的役割を果しながら着実に

実績を積み上げ、プルトニウムの本格利用を先導的に具現化・実証してわが国の核燃料サイクル技術の 蓄積・広がりに貢献してきました。これらの実績は、プルトニウムの平和利用に対する国内外の理解を深めることにも役立ち、「ふげん」プロジェクトは大きな成功を納めたものと評価されます。




プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)





世界のMOX利用実績と「ふげん」