プルトニウム利用技術の確立と実証(1)



プルトニウム(MOX)燃料利用実績
 
  本格運転開始以降の平均設備利用率は約62%です。「ふげん」の運転パターンは、約6ヶ月の運転、燃料交換のための約1ヶ月の計画停止、約6ヶ月の運転、約3ヶ月の定期検査を基本的な運転パターンにしており、その中での約62%の平均設備利用率は良好であり、同世代の軽水炉と比較しても遜色のないものとなっています。
  昭和53年3月に22体のMOX燃料で初の臨界を達成して以降、これまでの約25年間に772体のMOX燃料(金属重量にして約1850?のプルトニウムを含む)及び687体のウラン燃料を装荷して運転を継続してきました。これらのうち、ウラン燃料については1体の燃料漏えい(平成14年4月)を経験しましたが、MOX燃料については1体の燃料漏えいも発生していません。
  「ふげん」は全炉心にMOX燃料を装荷することができますが、その時々のプルトニウム需給状況に応じて柔軟にMOX燃料の装荷比率を変えてきています。全炉心に対するMOX燃料の装荷割合の実績は34%〜72%まで変化しており、プルトニウム利用に

おける柔軟性を実証してきました。各運転サイクルにおけるプルトニウムの核分裂の比率もほぼMOX燃料の装荷比率に依存しますが、これまでの実績では最大で発電の7割をプルトニウムの核分裂で占めたことがあります。
  MOX燃料の炉心における配置は、運転を開始した時にはプルトニウム炉心の特性を確認する目的で炉心中央部に96体のMOX燃料を配置しましたが、その後はMOX燃料とウラン燃料を区別することなく配置して、MOX燃料とウラン燃料は同様に扱えることを実証しました。
  「ふげん」の標準MOX燃料の最高燃焼度は集合体平均で約20GWd/tと近年の軽水炉のウラン燃料の燃焼度に比べると半分程度ですが、新型転換炉実証炉用の燃料開発の一環として「ふげん」で照射した試験用のMOX燃料では約38GWd/tの燃焼度実績を有しています。この燃料については現在照射後試験を実施しており、その結果はプルサーマル計画にも活用される予定です。

「ふげん」全景