燃料ふるまいシミュレーションツール
概要 及び 目的
軽水炉燃料の通常運転時および過渡時の、熱的・力学的ふるまいを解析することを目的とする。1本の燃料体系において、照射初期から高燃焼度まで一貫して照射に伴う発熱、温度、ペレットと被覆管の変形、ペレットと被覆管の機械的相互作用、被覆管酸化などを計算し、照射中の燃料棒に生じる変化の機構を解明し、想定条件での燃料棒の変化の予測を行う。
計算内容・機能 及び 特徴
1本の燃料棒の全長を複数個のセグメントに分割し、それぞれのセグメントを一次元円柱体系で近似する。ペレトスタックは等体積リング要素に、被覆管金属部と酸化膜は等厚みリング要素に、それぞれ分割する。各セグメントにおいて、要素ごとの発熱、半径方向の伝熱、および温度分布を計算すると同時に、半径方向および軸方向への変位、ペレットスタックと被覆管の間に働く機械的相互作用(PCMI)を有限要素法により計算する。
これらの熱的解析と力学解析は各タイムステップにおいて連成され、収束解を得る。燃料棒の出力履歴、燃焼度履歴、冷却材条件、燃料棒仕様、各種の物性値を指定し入力することにより、未照射状態から高燃焼度状態まで一貫して燃料棒の変化を計算する。また指定されたセグメントにおいて、2次元の局所PCMI解析を行い、詳細な力学解析による変形状態を解析することが可能である。
前バージョンFEMAXI-7との違いは、ペレットスタックおよび被覆管の要素分割数と分割方法、ペレットおよび被覆管の熱的・機械的性質モデルの更新と追加、FPガス放出・ペレットスエリングおよびPCMIに関する新モデルの追加、数値計算の安定性の向上、計算性能の向上、プロット出力物理量の種類の増加、コードの保全性、拡張性、可読性を目的としたプログラム全体構造の改良などである。
モデリング
個別の現象に着目、総合試験で取得困難な基礎知見/本質的理解を得る
実機で想定される二軸応力下の変形/破損挙動データを系統的に取得


数値シミュレーションにより、ミクロスケールのデータをマクロスケールの知見へ結び付け

燃料ペレット微細構造(結晶粒内/粒界/高燃焼度組織)を考慮した機構論的なFP移行モデルの構築


- 燃料のふるまいを計算機上で再現する
- 世界の燃料照射試験データにより検証
解析コードの開発
知見を束ね、社会へ還元
- 燃料挙動の予測、健全性評価
- 実験データの実機条件への変換
- 実験で直接計測できない物理量の推定
- 現象における支配的因子の抽出
燃安Grによる開発/公開
FEMAXI
燃料挙動解析コード
大学
原子力規制庁
燃料メーカー
電力
研究所
内外の様々な研究開発用途で活用
- 事故耐性燃料挙動解析コードの開発
- MOX燃料挙動評価手法の高度化
- 低減速炉の設計研究
- 核燃料直接処分検討に係るFP放出量評価
- ADS/窒化物燃料挙動解析コードの開発