2023年度 日本原子力学会賞 「奨励賞」を受賞

サイクル安全研究グループの吉田 涼一朗研究員は、Journal of Nuclear Science and Technologyに掲載された"Restraint effect of coexisting nitrite ion in simulated high level liquid waste on releasing volatile ruthenium under boiling condition"と題する論文が原子力平和利用研究開発に関し優秀な成果と認められ、第56回日本原子力学会賞 奨励賞を受賞しました。

受賞した研究の概要

タイトル:
沸騰条件下における模擬廃液中に共存する亜硝酸イオンの揮発性ルテニウム放出に対する抑制効果

再処理施設における重大事故の一つである蒸発乾固事象において、揮発性ルテニウム(Ru)化合物は、環境中に放出されるリスクが高いことから、以前から着目されてきました。

従来は、沸騰による濃縮が進むことによる急激な揮発性Ruの放出挙動について着目されていましたが、アクシデントマネジメント策として注水が行われると沸騰が長時間続くと想定されることから、自由水が十分ある段階において揮発性Ruの放出挙動を把握することも重要と考えられます。

本研究では、揮発性Ruの放出量と亜硝酸濃度との関係を、亜硝酸濃度をパラメータとした模擬廃液(高レベル廃液を非放射性核種で模擬した溶液)の加熱実験によって確認し、模擬廃液中の亜硝酸濃度が高い条件で揮発性Ruの放出が抑制されることを明らかにしました。

本成果は蒸発乾固のソースターム解析において事象進展に伴う揮発性Ruの放出量評価のため、亜硝酸濃度を含めた定式化へつながることが期待されます。

拝受した盾