第39回 日本原子力学会 熱流動部会 奨励賞を受賞

熱水力安全研究グループの岡垣 百合亜研究員は、「プールスクラビングの気泡力学に関するCFD解析研究」について、日本原子力学会熱流動部会より、第39回熱流動部会奨励賞を受賞しました。

受賞した研究の概要

エアロゾル(気体中に浮遊する微小な粒子状物質)をプールで濾し取るプールスクラビングは、気泡内に含まれるエアロゾルを液相へ移行させることで粒子を捕集する湿式フィルタであり、原子炉シビアアクシデント時に放射性エアロゾルの環境中への放出を大幅に抑制するための有力な手段の一つです。プールスクラビングによる粒子除去効率に関するモデルの高度化を目指す上で、気泡流体力学は重要な役割を果たします。

近年、数値流体力学(以下、CFD)を用いた、この現象の予測及びメカニズムの解明が行われています。本研究では、気泡分裂や合体等のない気泡流について、CFD解析の妥当性確認並びにコード、解析手法、及び解析条件等による結果への影響を明らかにしました。近年、数値流体力学(以下、CFD)を用いた、この現象の予測及びメカニズムの解明が行われています。本研究では、気泡分裂や合体等のない気泡流について、CFD解析の妥当性確認並びにコード、解析手法、及び解析条件等による結果への影響を明らかにしました。

また、気泡流解析の知見を活かし、プールスクラビングによる粒子除去効率のモデリングにつながるより高度な気泡群のCFD解析を行いました。これまで、CFD解析結果から気泡群を構成する個々の気泡追跡を行うことは一般的に行われていませんでしたが、ボイド率データから気泡追跡を行えるようにデータ処理手法を考案し、気泡上昇速度分布を算出しました。

さらに、気泡群を形成する気泡のSauter平均(表面積平均)径を求め、CFD解析では、気泡界面変形の影響が大きく現れることを明らかにしました。気泡群に関するCFD解析の妥当性評価及び現象解明は、今後のプールスクラビングモデルの検証や高度化に資する知見の提供に大きく寄与します。

受賞した岡垣 百合亜研究員