規制・国際情報分析室(兼 安全研究センター)の中村 秀夫氏は日本原子力学会より、「軽水炉の熱流動研究及び安全性の改善に対する顕著な貢献」に対して2023年度日本原子力学会賞 学術業績賞を受賞しました。
受賞概要
中村秀夫氏は、1981年より軽水炉の安全性確保・向上を目指す規制支援の安全研究に携わり、圧力、流況が大きく変化する軽水炉事故時の熱流動と炉心冷却に関わる実規模蒸気-水二相流の詳細観察とモデル化を主眼とする研究を行った。
特に、高温高圧下での流体物性変化と大型流路での多次元流動の影響を考慮した高温高圧用内視鏡や流動の詳細計測のための高精度4センサーボイドプローブなど独自開発の計測機器を用いた試験と分析を行い、例えば水平流動では、約90気圧を超える高圧下でスラグ流が発生しない事実を見出してメカニズムを解明し、水平分離流の気液界面抵抗係数等の定式化を通じて安全評価解析コードによる安全評価の精度を向上した。
さらに、LSTF実験によるOECD/NEAの国際共同研究プロジェクトROSA及びROSA-2を主催して、14カ国の参加で安全評価解析手法のV&Vを進めたほか、NEA WGAMAの議長として現行炉のほかSMRを含む新型軽水炉の安全評価を通じた安全の確保と継続的改善に係る活動を牽引している。


OECD/NEA:経済協力開発機構/原子力機関
SMR:小型モジュラー炉
V&V:検証と妥当性確認
WGAMA:事故の分析とマネジメントに係るワーキンググループ