日本機械学会 動力エネルギーシステム部門 優秀講演表彰を受賞

構造健全性評価研究グループの山口義仁研究員並びにLu Kai 研究員は、原子力工学国際会議(ICONE-27、2019 年5 月19~24 日につくば市で開催) における研究発表について、日本機械学会 動力エネルギーシステム部門の「優秀講演表彰」を受賞しました。この賞は、同部門が主催するシンポジウム等において優秀な発表を行った若手研究者や技術者を讃えるものです。

受賞概要

山口 義仁 研究員

タイトル
Expansion of High Temperature Creep Test Data for Failure Evaluation of BWR Lower Head in Severe Accident
概要

東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、シビアアクシデント発生時に高温になる原子炉圧力容器下部ヘッドにおける破損評価手法の整備が重要な課題となっています。そのため、高温下のクリープ損傷に対応できる有限要素法による破損評価手法の開発を進めています。

受賞者は、下部ヘッドを構成する低合金鋼、ニッケル合金及びステンレス鋼について、既存のデータベースや文献に報告されていない1000℃以上の高温域における引張特性やクリープ特性データを新たに取得し、高温域に適用可能なクリープ構成則を整備しました。

優秀講演表彰を受賞した山口 義仁 研究員

Lu Kai 研究員

タイトル
Verification of a probabilistic fracture mechanics code PASCAL4 for reactor pressure vessels
概要

確率論的破壊力学(PFM)解析手法は、様々な影響因子の固有の確率分布を考慮した合理的評価が可能であることから、原子炉機器の健全性評価への活用が期待されています。

そのため、中性子照射脆化や過渡事象を考慮した原子炉圧力容器(RPV)の破損頻度を算出することが出来るPFM解析コードPASCAL4の整備を進めています。国内におけるRPVに対するPFM解析手法の適用に当たっては、PFM解析コードの検証が不可欠です。

そこで、国内の研究機関、大学、原子力プラントメーカー等で構成されるワーキンググループを設置し、複数の機関による比較解析などを実施しました。受賞者は、各機関による解析結果の比較から、結果の差異の原因究明や対応策の検討を行い、PFM解析を実施するうえで留意すべき事項を取りまとめました。

このような活動を通じて、PASCAL4の検証を進めるなど、国内におけるPFM解析手法の適用性向上に貢献しました。

優秀講演表彰を受賞した Lu Kai 研究員