【用語説明】

1) 抗体

図6

特定の分子(抗原)を異物として特異的に認識して、生体内から除去する分子(タンパク質)。長いペプチド(重鎖)と短いペプチド(軽鎖)から構成されており、一般的に右図のような「Y」の字で示されます。抗原認識に関与するのは重鎖と軽鎖の両方から構成され、抗体1分子中に2つ存在するFab領域です。

2) アポトーシス

多細胞生物(ヒトなどの高等生物も含まれる)の細胞で見られる細胞死の一種で、個体を良い状態に保つために遺伝子のプログラムどおりに引き起こされる管理・調節された細胞死のことです。

3) X線結晶構造解析

タンパク質分子の形(立体構造)を詳細に決定する実験方法。タンパク質の単結晶を作製し、X線を照射することによって、その立体構造を原子レベルで決定することができます。放射光施設では強力なX線を利用することが可能で、小さな結晶から高精度の立体構造を決定できます。本研究は、兵庫県播磨科学公園都市にある大型放射光施設SPring-8のビームラインBL41XUを利用して立体構造決定しました。

4) 分子標的治療

ある特定の分子を標的としてその機能を制御することにより治療する療法。抗体分子はその高い抗原認識特異性から分子標的治療に多く用いられています。特にがん治療においては、さまざまな抗体が医薬品として臨床応用されており、進行・再発の大腸がん治療におけるベバシズマブ(商品名アバスチン)、乳がん治療におけるトラスツズマブ(商品名ハーセプチン)は、世界の医薬品売り上げのトップ10に入っています。


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