【用語説明】

1)シビアアクシデント

軽水炉の設計において、あらかじめ想定した設計基準事象を大きく超える事象であり、設備の多重故障や人的過誤等により防護策の機能喪失が多重に重なり、炉心が重大な損傷を受けるような事象を指す。新しい規制基準では重大事故と呼ばれている。

2)ROSA計画

ROSAはRig Of Safety Assessment(安全評価のための実験装置)の略称で、熱水力安全研究に関する実験と解析を両輪とする研究計画の名称として、旧原研時代の1970年代より用いられている。第1期の研究計画はROSA-I計画と呼ばれ、以後、安全研究についての内外からの研究ニーズに対応し、現行原子炉(BWR,PWR)、新型受動安全炉AP600、BWR用の格納容器静的冷却系PCCS等に関する研究を実施してきた。現在は、PWRのアクシデントマネジメントに着目したROSA-V計画と並行しROSA-SA計画を実施している(以下のページを参照)。
http://www.jaea.go.jp/04/anzen/group/tsrg/index.html

3)原子力規制委員会からの受託事業

安全研究センターでは、平成24年度より、原子力規制委員会から「原子力発電施設等安全調査研究委託費(原子力発電施設等安全調査)」事業を受託し、原子力規制庁によるシステム解析コードの開発支援のための炉心熱伝達等に関する研究を開始している。これと並行し、平成25年度からは、大型格納容器実験装置CIGMAの整備を開始した。なお、平成27年度より、本事業の名称は、「原子力施設等防災対策等委託費(軽水炉の事故時熱流動調査)」事業に変更されている。

4)アクシデントマネジメント

設計基準上では想定していないような事態発生に備えてあらかじめ設置した機器や、設計上使用できる保証がなくても実際には使用可能な機器などを活用することによって、シビアアクシデントへの発展を防止するために採られる措置。もしくは、万一シビアアクシデントに至った場合でも被害を最小限にとどめるために採られる措置。

5)数値流体力学(Computational Fluid Dynamics、略称:CFD)

流体の運動に関する方程式(オイラー方程式、ナビエ-ストークス方程式、またはその派生式)をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法。計算流体力学ともいう。コンピュータの性能向上とともに飛躍的に発展し、航空機・自動車・鉄道車両・船舶等の流体中を移動する機械および建築物の設計をするにあたって風洞実験に並ぶ重要な存在となっている。

6)粒子画像流速計測法(Particle Image Velocimetry、略称PIV)

流れに追随する微小な粒子(粉末・油など)を気流中に散布し、レーザーシートを照射し、粒子が反射した光から得た画像をコンピュータで解析して速度場を得る計測手法。二次元面内の定量的な速度情報を一度に(トラバースの必要なく)得られ、空間解像度も高いため、低速から亜音速、あるいは超音速の流れ場にしばしば適用される。


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