【経緯】

原子力機構では、高温ガス炉とこれによる水素製造技術の今後の研究開発の在り方を検討するため、原子力機構の設置する外部有識者から成る高温ガス炉及び水素製造研究開発・評価委員会(以下「高温ガス炉評価委員会」という。)の委員長(門出政則 佐賀大学大学院工学系研究科教授、佐賀大学海洋エネルギー研究センター長)に、平成25年11月26日、原子力機構理事長から第3期中期計画における「高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発」に関する事前評価について諮問しました。

高温ガス炉評価委員会では、平成25年12月6日、集中的かつ専門的に評価を実施するため、専門家で構成される中期計画研究評価専門部会(部会長:岡本孝司 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 専攻長、教授)(以下「専門部会」という。)を設置し、専門部会において計3回の会合が開催され、第2期中期計画における研究開発成果の現時点での評価が行われるとともに、今後実施すべき研究開発や検討すべき課題等について評価が行われました。

その後、高温ガス炉評価委員会において評価結果がとりまとめられ、平成26年2月5日、原子力機構理事長に答申が提出されたことから、原子力機構において評価結果を公開報告書にまとめることとしました。

【用語説明・解説】

(注1)高温ガス炉とこれによる水素製造技術

<高温ガス炉>

高温ガス炉は、炉心溶融が起きない等の本質的な安全性を有しており、900℃を超える高温の熱を原子炉から取り出せることから、熱効率に優れるとともに、水素製造等の発電以外での利用など原子力の利用分野の拡大が期待される原子炉である。具体的には水素、工業用プロセス熱利用等の多様な熱利用、廃棄物となる使用済燃料の有害度低減、再生可能エネルギーとの共生等が期待されている。

<高温ガス炉の安全性>

高温ガス炉は、冷却能力の喪失、冷却材の喪失のような事故時においても、人の手を介さずとも、自然現象だけで止める、冷やすことができる設計が可能な原子炉である。このような優れた固有の安全性を生み出す理由は以下による。

こうした高温ガス炉の優れた固有の安全性は、我が国初の高温ガス炉HTTRを用いて確証中である(図1)。

HTTRは、熱出力30MW(3万kW)、原子炉出口冷却材最高温度は950℃、平成10年11月に初臨界、平成13年12月に熱出力30MW及び原子炉出口冷却材温度850℃、平成16年4月に原子炉出口冷却材温度950℃、平成22年3月に950℃、50日間高温連続運転を達成した。

図1 HTTRを用いて、高温ガス炉の固有の安全性を確証中

図2 高温ガス炉技術及び水素製造技術の概要


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