【用語解説】

1)J-PARC(ジェイパーク)

JAEAとKEKが共同で茨城県東海村に建設、運営を行っている世界最大規模の陽子加速器群と実験施設群の呼称で、Japan Proton Accelerator Research Complexの略称。加速器で加速された陽子を標的の水銀および炭素などの原子核に衝突させ原子核を破壊することで発生する中性子、ミュオン、中間子、ニュートリノなどの粒子を利用し最先端の研究や産業利用を行っている実験施設。

2)元素戦略プロジェクト〈研究拠点形成型〉

文部科学省が実施する、我が国の産業競争力強化に不可欠である革新的な希少元素代替材料を開発するため、物質中の元素機能の理論的解明から、新材料の創製、特性評価までを密接な連携・協働の下で一体的に推進するためのプロジェクト。平成24年度から開始する〈研究拠点形成型〉には、「磁石材料」(拠点設置機関:物質・材料研究機構)、「触媒・電池材料」(拠点設置機関:京都大学)、「電子材料」(拠点設置機関:東京工業大学)、「構造材料」(拠点設置機関:京都大学)の4つの領域がある。

3)トライアルユース

一般の方になじみの薄いパルス中性子施設を活用していただくための体験利用的な取り組み。パルス中性子実験の裾野を広げることで利用者が拡大し、将来的には質の高い研究成果を生み出すことを目的に設けられた利用枠。共用ビームラインの年間運転時間のうち最大5%がトライアルユース利用枠に割り当てられる。

4)重点分野利用

国家プロジェクト(今回は元素戦略プロジェクト〈研究拠点形成型〉)及びトライアルユース利用の推進のために設けられた利用枠のこと。共用ビームラインの年間運転時間のうち最大15%が元素戦略プロジェクトに割り当てられる。

5)物質・生命科学実験施設(MLF:Materials and Life Science Experimental Facility)

J-PARCの実験施設群の1つで、中性子やミュオンを利用し物質科学/生命科学を研究するための研究施設。

平成24年8月現在、ミュオンを利用する実験ビームラインが2本、中性子を利用する実験ビームラインが18本稼働中。

6)登録施設利用促進機関

「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」で定められた特定先端大型研究施設の業務のうち、「施設利用研究を行う者の選定及びこれに附帯する業務」(利用者選定業務)、「施設利用研究の実施に関し、情報の提供、相談その他の援助」(利用支援業務)を行うための機関。特定先端大型研究施設には特定放射光施設(SPring-8)、特定高速電子計算機施設(次世代スーパーコンピューター「京」)、特定中性子線施設(J-PARC/MLF)があり、それぞれの施設ごとに登録施設利用促進機関が設けられている。CROSSは、平成23年4月からJ-PARC/MLFの登録施設利用促進機関として業務を開始した。

7)共用ビームライン

MLFで稼働している中性子を利用する実験ビームラインの内、1番(名称:四季)、2番(DNA)、15番(大観)、17番(写楽)、18番(千手)の5本(平成24年現在)が国内外の研究者の利用に供されている共用ビームライン。J-PARCの登録施設利用促進機関であるCROSSが利用者選定、利用者支援の業務を請け負っている。

8)一般利用課題枠

課題の応募対象者を限定せず、広く国内外の大学、民間企業及び公的研究機関などに所属する研究者などとした利用枠のこと。さらに、実験で得られた成果を論文など外部発表することが義務付けられた「成果公開型」(利用料金免除)と得られた成果を占有する「成果非公開型」(利用料金非免除)に分かれる。共用ビームラインの年間運転時間のうち最低60%が一般利用枠に割り当てられる。

9)パルス中性子線

短い時間幅の中性子がビーム状に連続して発生するビームのこと。J-PARCでは25Hz(1秒間に25回)で中性子が発生している。


戻る