独立行政法人日本原子力研究開発機構/国立大学法人東京大学/公立大学法人秋田県立大学

平成24年6月22日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
国立大学法人東京大学
公立大学法人秋田県立大学

NaI(Tl)スペクトロメーターでセシウム134と137を個別に定量する簡便な手法を開発(お知らせ)

【発表のポイント】

独立行政法人日本原子力研究開発機構【理事長 鈴木篤之、以下「原子力機構」という】は、国立大学法人東京大学【総長 濱田純一、以下「東京大学」という】、公立大学法人秋田県立大学【学長 小間 篤、以下「秋田県立大学」という】と共同で、放射性セシウムの測定に広く利用されているタリウムヨウ化ナトリウムシンチレーションスペクトロメーター注1(以下、NaI(Tl)スペクトロメーターという)と表計算ソフトを用いて、食品や土壌などに含まれるセシウム134とセシウム137を区別して定量する簡便な手法を開発しました。

NaI(Tl)スペクトロメーターは安価で取り扱いが容易なことから、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故以降、食品や土壌などに含まれる放射性物質濃度の測定に広く用いられています。一方で、NaI(Tl)スペクトロメーターでは、高価なゲルマニウム半導体検出器注2ほど、放射性物質の種類や濃度についての詳細は分かりません。福島をはじめとする被災地の復興の推進には、既に普及が進んでいるNaI(Tl)スペクトロメーターにより、食品中のより正確な情報を簡便に得る手法の開発が必要とされていました。

そこで、原子力機構 RIイメージング研究グループの尹永根博士研究員と藤巻秀グループリーダーらは、東京大学 田野井慶太朗准教授ら、秋田県立大学 中村進一准教授らと共同で、NaI(Tl)スペクトロメーターによる測定データの解析方法について研究を進め、これまでとは異なる方法で解析することにより、精度良くセシウム134とセシウム137の濃度を別々に算出できることを見出しました。この新しい解析方法は一般的な表計算ソフトで行えるため、NaI(Tl)スペクトロメーターを導入している多くの現場で、費用をかけずにセシウム134とセシウム137を個別に定量することが可能であり、現場の測定者自身の手によって、分析の信頼性を一層高めることができるようになります。

この研究成果は6月5日発行の「日本土壌肥料学雑誌」に掲載されました。

以上

参考部門・拠点:量子ビーム応用研究部門

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