【用語説明】

注1.シンチレーションスペクトロメーター
ある種の結晶などに放射線が入射すると、その放射線の持っているエネルギーに応じた明るさの蛍光が発生する現象を利用した計測装置で、検出器に入射した放射線の本数をエネルギー別に集計することができます。一定量の放射性物質がどのようなエネルギーの放射線をどのくらい出すかは、放射性物質の種類ごとに決まっているので、この装置を使うことで、試料中に含まれる放射性物質の種類と量を知ることができます。本研究で対象としたNaI(Tl)スペクトロメーターは、微量のタリウムを含むヨウ化ナトリウムの結晶が使われているものです。
注2.半導体検出器
ゲルマニウム半導体など、ある種の半導体に電圧をかけ、そこに放射線が入射すると、その放射線の持っているエネルギーに応じた電流が発生する現象を利用した計測装置で、検出器に入射した放射線の本数をエネルギー別に集計することができます。この装置でも、試料中に含まれる放射性物質の種類と量を知ることができますが、半導体検出器はエネルギーを識別する能力が高く、放射性物質の種類を見分けることに優れていることが特長です。
注3.チャンネル数
NaI(Tl)スペクトロメーターが検出器に入射した放射線の本数をエネルギー別に集計する際には、例えば0 〜 3,000 keVのエネルギー範囲を3 keVずつに分割し、それぞれの小さな範囲に該当する放射線の本数を集計していきます。この分割する数のことをチャンネル数と言います(この例では1,000チャンネル)。一般にチャンネル数の大きなものほど精細なデータ解析が可能になります。
注4.標準試料
含まれる放射性物質の種類と量が、あらかじめ専門機関などで定量済みの試料のことです。一般の試料に含まれる放射性物質の量を測定する場合には必ず、ものさしとなる標準試料が必要です。専門機関から購入することも可能ですが、本研究では、現場での様々な計測条件に応じて自作する方法を示しています。
注5.ベースライン
食品などの試料中には、天然の放射性物質であるカリウム40が含まれています。また、分析装置には周囲の建材などから自然の放射線が飛び込んできます。したがって、検出される放射線のうちある程度の割合は、試料中の放射性セシウムの量と無関係なものです。そこで、試料中の放射性セシウムを正確に定量するために、本研究では検出された放射線量の一部をベースラインと呼んで除外しています。

戻る