【プロジェクトの背景】

CSNIは、高温ガス炉HTTRの世界初の原子炉出口冷却材温度950℃の炉外への取出し成功や炉心流量部分喪失試験等の異常を模擬した試験の実績を高く評価し、HTTRを革新炉の安全性研究を実施するための最重要施設と位置付け、全冷却設備の冷却能力の喪失を模擬した強制冷却喪失時等における革新炉の安全性研究を推進する国際プロジェクトの実施を決定しました。

【プロジェクトの内容】

●参画機関、拠出金

国名 機関名 拠出金(単位:万ユーロ)
米国 原子力規制委員会 39.0
仏国 原子力庁、放射線防護原子力安全研究所 26.0
韓国 韓国原子力研究所 12.0
チェコ チェコ原子力研究所 4.5
ハンガリー KFKI原子力研究所 4.5

●実施期間

2011年3月31日〜2013年3月31日

●試験項目

原子力機構は、HTTRを用いた以下の試験を今後実施します。

炉心流量喪失試験:
原子炉出力100%(30MW)において、制御棒を炉心に挿入せずに、全てのガス循環機を停止させることにより炉心における冷却材ヘリウムの流量をゼロとし、炉心の冷却能力を著しく低下させた場合の原子炉の安全性を実証。
炉心冷却喪失試験:
原子炉出力30%(9MW)において、制御棒を炉心に挿入せずに全てのガス循環機を停止することに加えて、原子炉停止後の残留熱を除去するために原子炉圧力容器周りに設置した炉容器冷却設備を同時に停止させ、全冷却設備の冷却能力の喪失を模擬した場合の安全性を実証。(世界初の試み)

原子力機構は、本プロジェクトにおいて、安全設計方針に関する国際的な議論を主導し、同方針の国際標準化を目指します。参画機関は、自国の革新炉の安全規制に役立てるため、原子力機構が提供する原子炉出力、炉内構造物温度などの試験データ等を入手して、独自に解析し、その結果を技術検討グループ会合で検討するとともに、高温ガス炉の安全設計方針等について議論します。運営委員会では、試験計画、財務等のプロジェクトの運営に関することを決めていきます。

【今後の予定】

原子力機構は、本プロジェクトにおいて、安全設計方針等に関する国際的な議論を主導し、それらの国際標準化を目指します。これらの成果によって、発電および地域暖房、将来的には水素製造を目的としたカザフスタンの高温ガス炉計画を積極的に支援し、日本の技術によるカザフスタン高温ガス炉の建設を目指すとともに、電力と水素を併産する先進的原子炉、米国次世代原子力プラント(NGNP)計画においては、日本の技術が多くの部分で採用されるように活動していきます。


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