<用語説明>

注1 スピンエレクトロニクスデバイス
従来のエレクトロニクスデバイスでは、半導体におけるpn接合を利用しており、電子の電荷を電場で制御することによりデバイスの動作を制御している。スピンエレクトロニクスデバイスでは、電子のスピンを磁場または電流で制御することにより、デバイスの動作を制御する。微細化や低消費電力化に有効である。
注2 マクロな磁化測定
外部磁場によって試料全体に誘導された磁気成分を計測する。代表的な測定に振動試料型磁力計(VSM磁力計)やSQUID磁力計を用いる方法がある。
注3 アモルファス
原子の配列が乱雑である固体。
注4 スペリ磁性
希土類−遷移金属合金がアモルファス構造をとるとき、希土類元素の4f電子の磁気モーメントと3d遷移金属元素の3d電子の磁気モーメントの向きは、それぞれが一方向にそろうのではなく分布を持つことが多い。4f電子の磁気モーメントと3d電子の磁気モーメントが互いに逆向きの分布を持つ場合をスペリ磁性とよぶ。
注5 磁気コンプトン散乱
入射X線が物質中の電子で散乱されたとき、散乱X線のエネルギーが入射X線のそれより低くなる現象をコンプトン散乱とよぶ。物質中の電子のスピン状態に依存したコンプトン散乱を磁気コンプトン散乱とよぶ。この現象を利用して磁化のスピン成分を測定することができる。
注6 大型放射光施設SPring-8
兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、その運転管理は高輝度光科学研究センターが行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8GeVに由来。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。SPring-8では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。

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