用語説明

注1)次世代原子力プラント計画(NGNP計画)
米国において、エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2005)に基づき、電力と水素を併産する先進的原子炉、次世代原子力プラント(NGNP: Next Generation Nuclear Plant)を建設・運転するプロジェクトである。炉型として、高温ガス炉が選定されている。米国エネルギー省(DOE)の主導により、米国アイダホ国立研究所(INL)を中心とした研究開発、原子力メーカーによる設計・建設を行う。建設費は、国と利用者が折半する。2021年の運転開始を予定し、現在、概念設計及び研究開発が進められている。
注2)高温工学試験研究炉(HTTR)
我国初の黒鉛減速ヘリウムガス冷却型原子炉(高温ガス炉)で、熱出力30MW、原子炉出口ガス最高温度は950℃である。平成10年11月10日に初臨界、平成13年12月7日に熱出力30MW及び原子炉出口ガス温度850℃、平成16年4月19日に原子炉出口ガス温度950℃、平成22年3月13日に50日間高温連続運転を達成した。
注3)高温ガス炉
高温ガス炉は、@冷却材には化学的に不活性なヘリウムガスを用いているため、冷却材が燃料や構造材と化学反応を起こさないこと、A燃料被覆材にセラミックスを用いているため、燃料が1600℃の高温に耐え、核分裂生成物(FP)の保持能力に優れていること、B出力密度が低く(軽水炉に比べ1桁程度低い)、炉心に多量の黒鉛等を用いているため、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料の健全性が損なわれる温度に至らないこと等の安全性に優れた原子炉である。また、900℃を超える高温の熱を原子炉から取り出せることから、熱効率に優れるとともに、水素製造等の発電以外での利用など原子力の利用分野の拡大に役立つ原子炉である。
注4)トリチウム
水素の同位体の一つである三重水素のことであり、放射性を有する。高温ガス炉では、炉心での核分裂反応、炉内構造物である黒鉛中の不純物リチウム及びホウ素、反応度制御材中のホウ素、冷却材であるヘリウム中の同位体ヘリウム-3の中性子吸収反応によって生成する。ごくわずかであるが金属製の伝熱管を透過するため、1次冷却材から2次冷却材へ移行する。水素製造等の将来の熱利用においては、熱利用施設へのトリチウム移行量を適切に抑制する必要がある。現在、HTTRに熱利用施設は接続されていないが、1次系及び2次系に設置したヘリウム純化設備によって冷却材中のトリチウムを除去している。

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