平成22年4月15日
独立行政法人日本原子力研究開発機構
日本原子力研究開発機構(理事長 岡ア俊雄、以下「原子力機構」という)は、原子炉の設計、核融合炉の研究開発、放射性廃棄物処理のための加速器利用の研究開発に必要・不可欠な核データ[1]の評価活動を進め、今般、最新版の評価済み核データライブラリJENDL-4.0[2]を完成させました。本データライブラリは、インターネット上で公開(5月予定)しますので、利用者はより高性能なデータベースを自由に使用できるようになります。(→http://wwwndc.jaea.go.jp/jendl/j40/J40_J.html)
JENDL-4.0は、水素(原子番号=1)からフェルミウム(原子番号=100)までの406核種について、原子炉の開発に必要なほぼ全ての中性子入射エネルギー範囲にわたって、中性子と原子核との反応確率等のデータを収納しています。また、旧版のJENDL-3.3と比較して、格納核種の追加、最新の測定データや理論計算による精度向上等により、質・量ともに大幅に充実したライブラリとなっています。
JENDL-4.0では、FP核種[3]及びMA核種[4]のデータ精度が向上しているため、これを使用すれば核燃料の燃焼計算等の信頼性が大きく向上するものと考えられ、現行軽水炉の高燃焼度化・長寿命化や高速増殖炉サイクル開発に役立つものと期待されます。また、二次中性子やガンマ線のデータが充実していることから、核融合炉開発で不可欠の超伝導コイルやブランケットにおける中性子核反応による発熱量計算等の大幅な予測精度の向上が期待できます。なお、このライブラリの信頼度の高さは各種のベンチマークテスト[5]により検証され確認されております。さらに、エネルギー分野以外でも、放射線医療での照射線量評価等への利用や宇宙初期における元素合成の研究など、原子核に関係する分野の研究開発に大きく貢献できると期待されます。
以上