図1.水素結合と低障壁水素結合

水素結合に関与する水素原子は、通常ドナーと呼ばれる原子(酸素や窒素)に共有結合している。アクセプターと呼ばれる原子との間で、弱い静電相互作用が働き、水素結合を形成する(左)。このときドナーとアクセプターの距離は2.6Å以上である。ドナーとアクセプターの距離が近づくと、水素原子はドナーとアクセプターの間を簡単に行き来できるようなり(エネルギー障壁が低くなる)、低障壁水素結合を形成する(右)。しかし、距離が短ければ必ず低障壁水素結合になるわけではない。本研究結果でも低障壁水素結合でない例が見えている。

低障壁水素結合は、結合エネルギーが高い、容易にプロトンの脱着を引き起こせる、等の性質があり、有機低分子の固相や気相での化学反応では重要であることが知られていたが、タンパク質内部では安定には存在し得ないと思われていた。


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