平成20年11月17日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

材料試験炉(JMTR)を用いたモリブデン-99(99Mo)の国産化に向けた検討を開始

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 岡ア俊雄:以下「原子力機構」という。)は、理事長の諮問機関であるJMTR運営・利用委員会1)の下に「99Mo国産化検討分科会」を設置し、国内の多くの病院でがん等の画像診断に使用され、現在その全量を輸入に頼っている放射性医薬品中のテクネチウム-99m(99mTc)2)の親核種3)であるモリブデン-99(99Mo)4)の国産化に向けた技術的検討を産学協力のもとで本格的に開始します。

99mTcはがんをはじめとする疾病の画像診断において欠かせない放射性同位元素で、99Moから生成されます。99Moは半減期5)が約66時間と短く、さらに100%輸入品に依存せざるを得ないため、毎週海外より空輸されています。しかしながら、99Moを製造できる海外の試験研究炉5基も高経年化が進むなど、医療現場への安定供給が危ぶまれています。

原子力機構は、平成23年度からのJMTR再稼働に合わせて、照射後の処理等の面で利点のある中性子放射化法6)による99Moの製造を検討しており、放射性医薬品メーカーや関連団体などと意見交換を行なってきました。新たに設置する、医・薬学界、医薬品業界、関連団体などの有識者で構成される「99Mo国産化検討分科会」では、国産化に係る課題の摘出とJMTRを用いた99Moの製造の技術的検証を行います。

また、本分科会は、本年7月に出された日本学術会議の提言に記載されている「JMTRでのRI製造は、我が国におけるRIの安定供給にとって喫緊かつ最も重要であり、この改修計画で的確な対応がなされるべきである。」に応え、国民の安全・安心に寄与するため、輸入だけに依存しない99Moの国内需給体制の構築を目指した検討を行います。

以上

参考部門・拠点:大洗研究開発センター

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