(用語解説)

1)大強度陽子加速器施設(J-PARC)
日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で茨城県東海村に建設中の陽子加速器施設と利用施設群の総称。
加速した陽子を原子核標的に衝突させることにより発生する中性子、ミュオン、中間子、ニュートリノなどの二次粒子を用いて、物質・生命科学、原子核・素粒子物理学などの最先端研究及び産業利用が行われる予定。
2)核破砕中性子源 (→補足資料
加速器で生成した高エネルギーの陽子ビームがある原子核に入射すると、その原子核がバラバラになり、多量の中性子などが放出される(この核反応を核破砕反応と言う)。核破砕中性子源で生じる核破砕反応により生成した高エネルギー中性子(温度換算で数百億℃)を-250℃程度の実験に適した温度にまで冷やし、多様な中性子実験装置に中性子ビームとして供給する。実験装置では中性子ビームを利用した様々な実験が行なわれ、ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な分野の研究展開が期待されている。
3)核破砕反応
約1億電子ボルト以上の高エネルギーに加速された陽子を水銀、鉛ビスマス、鉛、タングステン、タンタル、ウラン等の標的に入射することにより、標的の原子核がバラバラになり、陽子及び中性子などの多数の2次粒子を放出する反応を指す。
4)量子ビーム
高エネルギー陽子を標的に衝突させると、2次粒子として中性子、パイ中間子、K中間子、ミュオン、ニュートリノなどが発生する。J-PARCの実験施設では、これら「量子」と総称される粒子をビームとして利用する。
5)中性子ビーム
核破砕中性子源において高エネルギー陽子を標的に入射させると、中性子等が放射状に発生する。この中性子を最適なエネルギーに減速し、ある一定方向に取り出したものを中性子ビームという。この中性子ビームは、物質の構造や動きを研究するための中性子散乱等の実験に用いられる。

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